下弦より少しふくらんだ月になります。月の出がかなり遅くなり,大人が寝るころにようやく東の空に昇ってきます。望遠鏡で条件良く見られる南中は真夜中過ぎというより夜明け前になりますので,早寝早起きして観察するのが現実的です。
望遠鏡による見どころは,北半分ではアリストテレス・エウドクソスと晴れの海周辺,南半分では神酒の海西側とホンメル・マウロリクスあたりでしょうか。夜明け前,静寂の中で望遠鏡をのぞきながら月と対話するのも乙なものですよ。
下弦より少しふくらんだ月になります。月の出がかなり遅くなり,大人が寝るころにようやく東の空に昇ってきます。望遠鏡で条件良く見られる南中は真夜中過ぎというより夜明け前になりますので,早寝早起きして観察するのが現実的です。
望遠鏡による見どころは,北半分ではアリストテレス・エウドクソスと晴れの海周辺,南半分では神酒の海西側とホンメル・マウロリクスあたりでしょうか。夜明け前,静寂の中で望遠鏡をのぞきながら月と対話するのも乙なものですよ。
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
見どころポイント
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
・アリストテレス(直径87km),エウドクソス(67km)は非常によく目立つクレーターです。両方とも階段状の周壁を持ち,欠け際に来た時の存在感は抜群です。
・ビュルク(40km)とそのまわりの死の湖の景観も目をひきます。湖の中には谷やしわがあって,アリストテレス,エウドクソスと共に見ごたえのある領域です。
・死の湖の北は氷の海の東端にあたりますが,欠け際に来た時には,細かで複雑なしわが見られます。
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
・晴れの海の東側で最も目立つクレーターはポシドニウス(直径95km)です。中に小さなクレータがあり,山や谷も見られて特徴的な姿をしています。
・ポシドニウスの南東に周壁が崩れたシャコルナク(51km),少し南には暗い溶岩できれいに埋められたル・モニエ(61km)があります。
・晴れの海の東側の見どころは,まるで蛇のようにくねったリンクルリッジ(背の低い尾根)です。スミルノフ尾根とリスター尾根のつながった姿は,かつて蛇山脈とか蛇尾根などと呼ばれることもあったとか。私はスミルノフ尾根の北にある2つの小クレーター(↓)が目に見えて,何となくゲゲゲの鬼太郎に出てきた「一反もめん」のような感じに見えるのですが…えっ?!ご存じない?
・ビトルビウス(30km)の北には,同じような大きさの山が4つ斜めに並んでいて,その南に2つの小山がポコポコ,さらにその西には細長くでっかい山のかたまり(長さ50kmもあるアルゲウス山)があって,これらの並びがなんとも楽しいです。ただそれだけです。(笑)
・ドーズ(18km)の北には暗い帯のようなものがあって,晴れの海と静かの海を区切っているようです。ドーズのまわりも明るさが違いますけどね。これは海を埋めた溶岩の流出した時期と成分が違うことによるそうです。望遠鏡でわかるかな?
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
・この頃のアペニン山脈(全長600km)の見え方は,上弦の頃とはずいぶん印象が異なります。太陽光が当たって輝いている西側が急勾配で,反対の東側がなだらかな傾斜になっていることがその理由です。上弦の頃は西側の雨の海の方へ山の影が長く鋭く落ちるので,とても山脈が険しく見えます。
・アペニン山脈周辺では,フレネル谷(長さ90km),コノン谷(長さ45km),ヘームス山脈(全長400km)周辺ではスルピキウス・ガルス谷(長さ60km)などの谷があります。望遠鏡の倍率を上げて見えるかどうか確認してみましょう。
・ヘームス山脈の南,マニリウス(直径39km)近辺の溶岩で埋められた平坦で暗い場所には湖の名前がつけられています。月面で20個ある湖のうち6個がここに集中しています。
・雨の海の東には,アルキメデス(83km),アリスティルス(55km),オートリクス(39km)の3クレーターが大変良く目立ちます。
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
・蒸気の海近辺では,小型望遠鏡でも見られる有名な谷が3つ(ヒギヌス谷,アリアデウス谷,トリスネッカー谷)あります。欠け際に来た時にぜひ探して見てほしいおすすめの谷です。
・ヒギヌス谷は幅5km長さ230kmで,部分的にいくつかのクレーターでつながっているのが特徴です。これらは火山性の陥没や噴火によってできたと考えられているようです。ヒギヌス谷の北には黒っぽいデコボコ地帯が広がっていて結構目立ちますが,私の調べた限り名前が付けられていないように思います。火傷でただれた後のような痛々しさを感じます。どのようにしてできたのでしょうか?
・アリアデウス谷は幅4.5km長さ250km深さ500mの直線に近い谷です。図の矢印の部分で南北に5kmほどずれているのがわかります。ヒギヌス谷同様,地下に溶岩が流れ込んでできた地形と考えられています。
・トリスネッカー谷は上の2つの谷より幅が狭い(1~2km)ので,口径10cm以上のできるだけ大口径で見たい谷です。谷はトリスネッカー(直径26km)の東の領域に南北へ複雑に伸びています。なぜこのような形状に谷ができたのでしょうか?
・中央の入江はその名の通り,地球に向いた月面のほぼ中央に位置します。黄色い「+」印は月面緯度0度,経度0度の地点です。
・アグリッパ(46km)ゴダン(35km)を頭と考えて,右下にのびる出っ張りを身体と見れば,もののけ姫に出てくるあの白いちっちゃいやつ「こだま」?!に似てませんか?! また,ボスコビッチ(46km)を身体,左上の長いのを頭とすれば,キュウリ頭の宇宙人みたい?!(笑)
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
・静かの海の北には,よく目立つクレーター,プリニウス(直径43km)があります。鋭い周壁と段丘,中央には山も見られます。
・静かの海の西にあるアラゴ(26km)の少し東には溶岩で埋もれたゴーストクレーター,ラモント(75km)があって,その周辺に複雑なリンクルリッジ(背の低い尾根)が広がっています。このあたりが欠け際に来た時,非常によく目立ちます。また,アラゴ付近に規模の大きなドーム(溶岩が噴き出して盛り上がった地形)であるアラゴα,βも見えるようになります。
・アラゴの西,ユリウス・カエサル(90km)の南には小望遠鏡でもよくわかるアリアデウス谷(長さ220km)があります。
・静かの海の南には,リッター(31km)とサビン(30km)が双子のように仲良く並んで見えています。リッターの西にあるディオニュシオス(17.6km)は新しいクレーターで満月の頃,非常に明るく輝きます。
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
・神酒の海より西の陸地の領域です。サクロボスコ(直径98km)は内部に10数kmのクレーターが3つあって特徴的な形状のクレーターです。
・月面の中央に近いところには古い大型のクレーター,ヒッパルコス(150km)があります。周壁はかなり崩れていて太陽高度が高いときは目立ちにくいクレーターです。内部に比較的新しいホロックス(30km)があります。
・ヒッパルコスのすぐ南のクレーター,ハレー(36km)から東にハインド(29km),ヒッパルコスC(17km),ヒッパルコスL(13km)とだんだん小さくなって並んでいるのが面白いです。
・ハレーのさらに南には,アルバテグニウス(136km)があります。内部にはクライン(44km)や中央丘があります。
・アルバテグニウスの南には,串刺し団子のような形のフォーゲル(27km)があります。そこから南へアルゲランダー(34km),エアリー(37km),ドナチ(36km),フェー(37km)と中央丘のある似たような大きさのクレーターが並んでいます。
・フェーの南西にあるドローネー(46km)はハート形のクレーターと言われますが,個人的にはそうは見えません。ただ,中央を山脈が走っていてクレーターを分断するような形です。ハート形だとするとあまり縁起がよくないですね。(笑)
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
・神酒の海の西にあるテオフィルス(直径100km),キリルス(98km),カタリナ(100km)の100kmクレータートリオは欠け際に来た時に,その荒々しさが際立ちます。特にテオフィルスは迫力があります。
・テオフィルスの西にあるカント(32km)の近くにはペンク山(高さ4000m,直径30km)という大きな山がそびえています。
・カタリナの西からビッコロミニ(88km)まで連なるアルタイの崖(全長480km)は小望遠鏡でもよくわかる地形です。
天体望遠鏡直視(倒立像)
天頂ミラー使用時(鏡像)
・このあたりは大きなものから小さなものまで非常にたくさんのクレーターが重なっている領域です。
・大きなものだとシュテフラー(126km),マウロリクス(114km)があります。シュテフラーは内部が溶岩で埋まって滑らかですが,他からの放出物が薄く堆積して若干しま模様が見られます。
・中規模のクレーターでは,ゲンマ・フリシウス(88km),ラビ・レビ(81km),バロキウス(82km),ヘラクリトス(90km)などは特徴のある形状をしています。
・ミラー(75km)内部の中央の山はなぜかX形に見えます。どうやってできたんだろう? これを私は「月面ミニX」と呼んでいます。大口径の望遠鏡で倍率を上げて確かめてみて下さい。
見どころポイント
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天頂ミラー使用時(鏡像)
・アリストテレス(直径87km),エウドクソス(67km)は非常によく目立つクレーターです。両方とも階段状の周壁を持ち,欠け際に来た時の存在感は抜群です。
・ビュルク(40km)とそのまわりの死の湖の景観も目をひきます。湖の中には谷やしわがあって,アリストテレス,エウドクソスと共に見ごたえのある領域です。
・死の湖の北は氷の海の東端にあたりますが,欠け際に来た時には,細かで複雑なしわが見られます。
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・晴れの海の東側で最も目立つクレーターはポシドニウス(直径95km)です。中に小さなクレータがあり,山や谷も見られて特徴的な姿をしています。
・ポシドニウスの南東に周壁が崩れたシャコルナク(51km),少し南には暗い溶岩できれいに埋められたル・モニエ(61km)があります。
・晴れの海の東側の見どころは,まるで蛇のようにくねったリンクルリッジ(背の低い尾根)です。スミルノフ尾根とリスター尾根のつながった姿は,かつて蛇山脈とか蛇尾根などと呼ばれることもあったとか。私はスミルノフ尾根の北にある2つの小クレーター(↓)が目に見えて,何となくゲゲゲの鬼太郎に出てきた「一反もめん」のような感じに見えるのですが…えっ?!ご存じない?
・ビトルビウス(30km)の北には,同じような大きさの山が4つ斜めに並んでいて,その南に2つの小山がポコポコ,さらにその西には細長くでっかい山のかたまり(長さ50kmもあるアルゲウス山)があって,これらの並びがなんとも楽しいです。ただそれだけです。(笑)
・ドーズ(18km)の北には暗い帯のようなものがあって,晴れの海と静かの海を区切っているようです。ドーズのまわりも明るさが違いますけどね。これは海を埋めた溶岩の流出した時期と成分が違うことによるそうです。望遠鏡でわかるかな?
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・この頃のアペニン山脈(全長600km)の見え方は,上弦の頃とはずいぶん印象が異なります。太陽光が当たって輝いている西側が急勾配で,反対の東側がなだらかな傾斜になっていることがその理由です。上弦の頃は西側の雨の海の方へ山の影が長く鋭く落ちるので,とても山脈が険しく見えます。
・アペニン山脈周辺では,フレネル谷(長さ90km),コノン谷(長さ45km),ヘームス山脈(全長400km)周辺ではスルピキウス・ガルス谷(長さ60km)などの谷があります。望遠鏡の倍率を上げて見えるかどうか確認してみましょう。
・ヘームス山脈の南,マニリウス(直径39km)近辺の溶岩で埋められた平坦で暗い場所には湖の名前がつけられています。月面で20個ある湖のうち6個がここに集中しています。
・雨の海の東には,アルキメデス(83km),アリスティルス(55km),オートリクス(39km)の3クレーターが大変良く目立ちます。
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・蒸気の海近辺では,小型望遠鏡でも見られる有名な谷が3つ(ヒギヌス谷,アリアデウス谷,トリスネッカー谷)あります。欠け際に来た時にぜひ探して見てほしいおすすめの谷です。
・ヒギヌス谷は幅5km長さ230kmで,部分的にいくつかのクレーターでつながっているのが特徴です。これらは火山性の陥没や噴火によってできたと考えられているようです。ヒギヌス谷の北には黒っぽいデコボコ地帯が広がっていて結構目立ちますが,私の調べた限り名前が付けられていないように思います。火傷でただれた後のような痛々しさを感じます。どのようにしてできたのでしょうか?
・アリアデウス谷は幅4.5km長さ250km深さ500mの直線に近い谷です。図の矢印の部分で南北に5kmほどずれているのがわかります。ヒギヌス谷同様,地下に溶岩が流れ込んでできた地形と考えられています。
・トリスネッカー谷は上の2つの谷より幅が狭い(1~2km)ので,口径10cm以上のできるだけ大口径で見たい谷です。谷はトリスネッカー(直径26km)の東の領域に南北へ複雑に伸びています。なぜこのような形状に谷ができたのでしょうか?
・中央の入江はその名の通り,地球に向いた月面のほぼ中央に位置します。黄色い「+」印は月面緯度0度,経度0度の地点です。
・アグリッパ(46km)ゴダン(35km)を頭と考えて,右下にのびる出っ張りを身体と見れば,もののけ姫に出てくるあの白いちっちゃいやつ「こだま」?!に似てませんか?! また,ボスコビッチ(46km)を身体,左上の長いのを頭とすれば,キュウリ頭の宇宙人みたい?!(笑)
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・静かの海の北には,よく目立つクレーター,プリニウス(直径43km)があります。鋭い周壁と段丘,中央には山も見られます。
・静かの海の西にあるアラゴ(26km)の少し東には溶岩で埋もれたゴーストクレーター,ラモント(75km)があって,その周辺に複雑なリンクルリッジ(背の低い尾根)が広がっています。このあたりが欠け際に来た時,非常によく目立ちます。また,アラゴ付近に規模の大きなドーム(溶岩が噴き出して盛り上がった地形)であるアラゴα,βも見えるようになります。
・アラゴの西,ユリウス・カエサル(90km)の南には小望遠鏡でもよくわかるアリアデウス谷(長さ220km)があります。
・静かの海の南には,リッター(31km)とサビン(30km)が双子のように仲良く並んで見えています。リッターの西にあるディオニュシオス(17.6km)は新しいクレーターで満月の頃,非常に明るく輝きます。
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・神酒の海より西の陸地の領域です。サクロボスコ(直径98km)は内部に10数kmのクレーターが3つあって特徴的な形状のクレーターです。
・月面の中央に近いところには古い大型のクレーター,ヒッパルコス(150km)があります。周壁はかなり崩れていて太陽高度が高いときは目立ちにくいクレーターです。内部に比較的新しいホロックス(30km)があります。
・ヒッパルコスのすぐ南のクレーター,ハレー(36km)から東にハインド(29km),ヒッパルコスC(17km),ヒッパルコスL(13km)とだんだん小さくなって並んでいるのが面白いです。
・ハレーのさらに南には,アルバテグニウス(136km)があります。内部にはクライン(44km)や中央丘があります。
・アルバテグニウスの南には,串刺し団子のような形のフォーゲル(27km)があります。そこから南へアルゲランダー(34km),エアリー(37km),ドナチ(36km),フェー(37km)と中央丘のある似たような大きさのクレーターが並んでいます。
・フェーの南西にあるドローネー(46km)はハート形のクレーターと言われますが,個人的にはそうは見えません。ただ,中央を山脈が走っていてクレーターを分断するような形です。ハート形だとするとあまり縁起がよくないですね。(笑)
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・神酒の海の西にあるテオフィルス(直径100km),キリルス(98km),カタリナ(100km)の100kmクレータートリオは欠け際に来た時に,その荒々しさが際立ちます。特にテオフィルスは迫力があります。
・テオフィルスの西にあるカント(32km)の近くにはペンク山(高さ4000m,直径30km)という大きな山がそびえています。
・カタリナの西からビッコロミニ(88km)まで連なるアルタイの崖(全長480km)は小望遠鏡でもよくわかる地形です。
天体望遠鏡直視(倒立像)
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・このあたりは大きなものから小さなものまで非常にたくさんのクレーターが重なっている領域です。
・大きなものだとシュテフラー(126km),マウロリクス(114km)があります。シュテフラーは内部が溶岩で埋まって滑らかですが,他からの放出物が薄く堆積して若干しま模様が見られます。
・中規模のクレーターでは,ゲンマ・フリシウス(88km),ラビ・レビ(81km),バロキウス(82km),ヘラクリトス(90km)などは特徴のある形状をしています。
・ミラー(75km)内部の中央の山はなぜかX形に見えます。どうやってできたんだろう? これを私は「月面ミニX」と呼んでいます。大口径の望遠鏡で倍率を上げて確かめてみて下さい。