満天NAGOYA に行ってきました

11月29日 コニカミノルタプラネタリウムの満天NAGOYAへ行ってきましたので簡単にレポートしたいと思います。

あまり知らない方に説明しておきましょう。
ここは今年2021年10月27日にオープンした日本初の LED ドームシステムを有する画期的なプラネタリウムなのです。今までのプラネタリウムは天井が半球状の白っぽいドーム(ほとんどアルミ板)で,そこに真ん中や周辺の機器から星空や映像を映して見るものでした。いわゆるドームは単なる白いスクリーンで,そこに映った映像の反射した光を見るわけです。ところがLEDドームシステムは,ドーム全面がLED画面になっていて,反射ではなく自ら光を出す方式です。ざっくり言えばドーム全体がテレビ画面みたいなものですね。自発光するLEDの特性から従来の反射に比べて,輝度・コントラストが段違いに高く,色も極めて鮮やかになり,中央や周辺に余計な投影機器を設置しなくて済むので,プラネタリウムとしては画期的なのです。

本編に入る前に昔話を一つ。
今から25年くらい前,科学館に勤務していた時の話ですが,コニカミノルタプラネタリウム(当時はミノルタカメラだったかな)の技術者の方とこれからのプラネタリウムについて語り合ったことがありました。その時,ちょうど青色LEDの量産が始まったことが大きなニュースになっていまして,従来からあった赤,緑に加えて3原色が揃うので液晶パネルに代わる高コントラストのLEDパネルができるじゃないかと期待されました。それで,これをドームに貼りこんでLEDプラネタリウムができませんか?!革新的プラネタリウムですよね!と技術者の方に話をしたことを覚えています。実はこれ,私のアイデアではなくは科学館の物理の先生の受け売りでした(~_~;)。これを聞いた技術者の方は,おもしろいけれど現時点では無理!実現するとしてもかなり時間がかかるとおっしゃっていました。確かに当時の技術やコンピュータの性能を考えればその通りだったのでしょう。でもそれが四半世紀の時を経て,しかもコニカミノルタプラネタリウムさんが作ったというのは何だかとても感慨深いものがあります。きっとモトベが話したことは忘れ去られていると思いますが…。

というわけで,この画期的なプラネタリウムを自分の目でどうしても確かめたいと思った次第です。名古屋なら私の自宅から往復300km,ロングドライブとしては適度な距離ですし,車で行くことにしました。思い立った28日の夜,ネットから座席指定の予約すませると,料金は一般席1600円。約40分のプラネタリウムとしてはなかなかのお値段ですな。

プラネタリウムの入口ロビー

当日はめちゃくちゃ良いお天気で気分よくドライブできました。名阪国道,東名阪自動車道経由で約2時間半。予定通りの時間で,満天NAGOYAのあるイオンモールNagoya Noritake Gardenに到着しました。平日なので駐車場は余裕がありましたが,さすが大都会!イオンモールは結構な人がいましたね。50%の人の入りと表示があったように思います。感染対策仕切りのあるフードコートで手早く昼食を済ませ,3Fの満天NAGOYAへ向かいました。きれいなお姉さんがチケットカウンターやフロアに5,6人立っていました。そのうちの1人に,昨日ネットで予約したのですが…と予約メール画面を見せるととても丁寧に対応してくれまして,気分良かったです。(^^♪

おしゃれなパッケージの商品が並ぶ

フロアには星関係グッズやアクセサリー,オリジナル紅茶などがオシャレに置いてあって,壁にも星にまつわるモノが展示され…科学館では醸し出せない雰囲気です。カップルが喜びそうですね。

さて,10分前になるとお姉さんが入場のアナウンスを始めます。それが終わると入口の機械にQRコードを読み込ませて入ります。チケット購入した人は渡された紙にQRコードがあり,ネット予約した人は予約完了メールのリンクからQRコードが表示できるしくみです。コロナの影響もあって,これからは非接触で改札通過の時代になるんでしょうね。

待合時間に再生された映像の一場面

中に入りますと,ドーム全体が発光してさまざまな映像がゆったりした動きを伴って再生されています。その明るさで内部は適度な明るさがありますので,照明いらずです。周辺に何か所かダウンライトがあるくらいでした。ドーム直径は15m。一般席157席と寝転がれる丸いソファーのようなプレミアムシートが4席。プレミアムシートは埋まっていましたが,一般席は平日昼間ということもあり3割ほどのお客さんの入りでした。映像はさすがに自発光LEDドームだけあって,輝度・コントラストが高くて色が鮮やか!とてもクッキリはっきり見えていました。映像によるかと思いますが,グラデーションの段がわかる時もありました。アラさがしはあきませんね。一般的には許容範囲だと思います。

左側方の地平線付近:LEDパネルの並びがわかる

プレミアムシートのある方が前方で,一般席はそちらに向いています。私は一番後ろに陣取り,あたりをつぶさに見回します(業界人あるある?!)。ドームを見上げると側方下側からおもしろい形にLEDパネルが並べてあることがわかりました(写真参照のこと;わかるかな?拡大して見て下さい)。何か並べ方に意味があるのでしょうか?
右後方には操作卓があって,お姉さんがそこに座って投影前の諸注意をしていました。

見た番組のチラシ

さて,いよいよ開始です。番組は「宇宙のオアシスを探してー奇跡の星への旅ー」というタイトルで系外惑星の話です。葉加瀬太郎の音楽をバックに田村淳&足立梨花のナビゲートで進行します。宇宙から見た地球や太陽系の惑星も紹介しながら,見つかった系外惑星を3つほど取り上げて解説しています。映像を多用して音楽も心地よく一般の人にもわかりやすい構成でした。冒頭にオーロラや星空タイムラプスの実写がありましたが,撮影したカメラの性能がそのまま見て取れます。具体的には星空の色ムラノイズがよく見えるなぁとかですが,LEDで余計に目立つ気がします。逆に言えば,優秀なカメラで撮ったものを映せばすごくきれいに見えるということになりそうです。同様にCGも色々なものが映し出されていましたが,CGの質が良くわかる感じでした。ビデオプロジェクターに比べて階調の滑らかさがどうかなと思いましたが,はっきりくっきり感が勝ってあまり気にならなかったというのが正直なところです。このあたり映像に詳しい方の評価はかなり違うかもしれません。
一方,少し気になったのがLEDパネル面の反射です。ドームの一部に明るい映像が出て他が星空などで暗い場合,明るい映像の光を受けて離れた場所のパネルが帯状に反射しているように思えました。プロジェクターで映す通常のデジタルプラネタリウムでは見たことのない現象でした。これは輝度が高いことの弊害でしょうか?パネル表面の反射率の問題でしょうか?これはあくまで厳しい目で見た時の話で,映像を台無しにしてしまうほどの反射ではないことは申し添えておきます。

最後に星空の印象について述べたいと思います。
私的には映像よりも星空の描写が従来の光学式プラネタリウムと比較してどうなのかに注目していました。何せ自発光LEDドームの表現ですから期待値が高かったのです。
結論から言うと,見た番組に映された星空に限っての話ですが,光学式プラネタリウムの圧勝でした。コントラストの高さが凄いのは間違いありません。星の像も十分小さくシャープです。でも,残念ながら等級差があまりわからず星座がきわめて見つけにくい状態でした。星好きな人にしかわかりませんが,こと座のベガとその近くのε星(ダブルダブルスター)の明るさがあまり変わらなかったんです。ε星が二重星であることを差し引いてもこれにはガッカリ。また,天の川はあえて映していないように見えました。う~ん,星や天の川の忠実な再現は描画ソフト等の調整でなんとかなるような気がしますが,どうなんでしょうか?LED制御ゆえの難しさがあるのでしょうか?
映像エンターテイメントに振ったコンセプトであることは承知していますが,ここはプラネタリウムファンのためにも,このLEDドームの能力を存分に引き出して,これぞ究極の星空じゃ!という表現を見せてほしいところです。また,プラネタリウム定番演出の日の入り~薄明~満天の星への移り変わりも泣かせるほど美しい表現になるよう合わせてお願いしておきたい!それだけのポテンシャルを秘めていると思いますので,今後の番組に期待です。
コニカミノルタプラネタリウムさ~ん!応援していますよ~。(終)

追伸
もし,他の番組では実現できていますというのなら,ゴメンナサイ。現に大阪市立科学館の渡部氏によると,もう一つのオープニング番組では「アニメ映像と星空のマッチングが群を抜いて素晴らしかった。完成度が高かった。」ということなので番組によって星空の映り方・印象が違うのかもしれません。これを読んでいるみなさんも機会とご興味があればご自身の目でお確かめください。

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