一等星

特に明るく見える恒星を一等星(1.5等級より明るい星)と分類しています。現在,日本では見えにくいものも含めて21個あります。同じ一等星でも色や明るさが微妙に異なります。

反射望遠鏡に一眼レフカメラをつけて同じ感度,シャッタースピードで撮影した一等星を並べました。6本のツノが出ているのは望遠鏡の副鏡を支持する3本スパイダーによる光の回折の影響です。

帯状のスペクトルを撮るため,望遠鏡に(職場の天文台に転がっていた古いち小さな)分光器を取付けます。その向きを東西に合わせシャッターを開けて南北方向にゆっくり動かします。取付から撮影まで,いやぁ~苦労しました。横に暗い縞模様が入っているのは南北方向の動きのムラです。(T_T)

春夏の一等星
秋冬の一等星
カノープスの見つけ方 2021.12.13 南伊勢町にて撮影

 カノープスはシリウスに次いで明るい1等星です。しかし,日本では南の低いところにしか見えないので,大気による減光を受けて実際より暗く見えます。

 京都市など北緯35度の場所から見ると南中高度は2.5度となります。南の地平線が見渡せる場所で南中時に良く晴れていれば肉眼で確認することも可能です。北緯35度付近で経験上,その時の明るさは2~3等星並みに見えます。
 ただし,地平線上に出ている時間が短いことや高度が低いことから,なかなか人の目にふれません。時間を狙って見ても大気の透明度が悪い時は極端に暗くなり見つけるのが困難になります。以上の理由から簡単には見ることができない星として知られているわけです。中国からの言い伝えで,この星を見ると長生きできるとされています。

 もし興味があればオリオン座が南中する頃,写真のようにシリウスからたどってカノープスを見つけてみて下さい。ちなみにこの写真は三重県の南伊勢町でほぼ南中時に撮影したものです。この時のカノープスの高度は約3度でした。とても良く晴れており,1等星に迫る明るさで見えていました。