夏の大三角に位置するわし座とはくちょう座はよく知られた夏の星座です。(こと座の話はこちら)
わし座は彦星としても有名な1等星アルタイルがあり,はくちょう座は1等星デネブを含む北十字と呼ばれる星並びが星座の目印となります。
さてこの天に輝く2羽の鳥,実はニセモノだということをご存じでしたか?ギリシャ神話によりますと,いずれも大神ゼウスが変身した姿なのだそうです。なぜ,わしやはくちょうに変身したのか今回はそのお話を紹介しましょう。
まずは,わし座から。
いつものように天から人間世界を見下ろしていた大神ゼウスはイーデ山のふもとで羊の番をしていたガニメデス少年に目が留まりました。なぜならガニメデスがとても美しかったからです。どれくらいのものかというと身体全体が黄金に輝くほどの美少年!
(ほんまかいな~)
ちょうど,いつもお酒のお酌をしてくれていた娘のへーべがヘルクレスのもとに嫁いだこともあって寂しかったゼウスは,この美少年にお酒のお酌をさせることを思いつきます。(古代ギリシャでは権力者が美少年をはべらすのが常識だったそうな)
そこで,ゼウスはいきなり大きなわしに変身して舞い降り,いきなりガニメデスをつかんで天へさらっていったそうです。これが本当のワシづかみですな。
(さむ~)
それにしても自分勝手というかわがままというか,これ犯罪ですね。一応悪いと思ったのか,親に贈り物を贈りガニメデス少年をいつでも見られるように彼が水をくむ姿をみずがめ座という星座にしたそうです。
そして,わし座はこのみずがめ座へ向かうように配置されています。星座作る人も神話に合うように考えているんですな。
さて次に,はくちょう座。
またまた,人間世界を見下ろしていたゼウスは,すごい美女を見つけました。スパルタ国の王妃レダです。なんとか関係を持ちたいと考えたゼウス(いやいや相手は人妻,アカンでしょ!)は慎重に身辺調査をします。そこで,レダははくちょうが好きでたくさんのはくちょうと戯れるのが日課という事実が判明!これだ!…というわけで,ゼウスははくちょうに変身して近づく計画を立てます。ひときわ大きく美しいはくちょうに化け,他のはくちょうをかき分けてまっすぐレダのもとへ…。「まあなんて素敵なはくちょうなんでしょう!」とレダが気づくやいなや,はくちょうはレダに突撃。ゼウスは思いを遂げます。
なんと仕事が早い!!ロマンチックのかけらもありませんなぁ~。
その結果,レダは懐妊し大きな2個のはくちょうの卵を産みます。
(なんでやねん!)
そしてビックリ!その卵が割れて男の子の双子と女の子の双子が出てきます。
(どないやねん!)
これって冷静に考えるとホラーですよ。レダさん出産時によくメンタルが耐えられましたね。
生まれてきた男の子の双子カストルとポルックスはふたご座になっていますし,女の子の双子ヘレネとクリュタイムネストラはかの有名なトロイヤ戦争に登場します。
神話はつながっていますね。
いかがでした?不純な動機で変身した大神ゼウスのお話でした。
しかし,ゼウスが変身したのはこれだけにはとどまりません。
星座がらみで言いますと,あの英雄ヘルクレスが生まれたのは,美女アルクメネに一目ぼれしたゼウスがこともあろうにアルクメネの夫に化けて一夜を共にしたことが原因ですし,(こら~)
勇者ペルセウスが生まれたのは,ゼウスが黄金の雨に変身して美女ダナエの身体へしみ込んだ?!のが原因です。
(どないやねん!)
他にもあの手この手でいろいろな美女に手を出しているのですが,このゼウスの行動は「しかたがないんだ」と言われています。(なんでやねん!)
それはキューピットの矢が原因で,これが刺さると相手を無性に好きになり人間はおろか神様でも自己制御不能に陥ってしまうとのこと。(ほんまかいな~)
いや~こんな理由が認められたら世の中はずいぶん平和になるんですけどね。(笑)
で,その矢がなんと!はくちょう座とわし座の間に「や座」として星座になっています。ゼウスがはくちょうとわしに化けたのはこの矢のせいなんですよ~とさりげにアピールしているのです。昔の人も洒落たことをしますな!
恋をしたい人はこの「や座」を見つけてみたらいかがでしょうか。ただし,一目ぼれしても常識的な行動をお願いしますね。m(__)m