SIGMA105mmファーストライト

 以前から注目していたこの「SIGMA 105mm F1.4 DG HSM|Art」レンズ。非常に明るくて抜群にシャープな描写が評判です。ネット上でもこのレンズを使用した素晴らしい天体写真を見ることができます。それに触発され、ついに今年6月22日に入手してしまいました。そして、星空に向けファーストライトを済ますことができたので、ここに報告させていただきます。

SIGMA 105mmを装着した Nikon D810A

 このレンズはいくつかのカメラマウント用に製品がありますが、私はNikon D810Aカメラに装着して使用するため、ニコンFマウント用を購入しました。レンズは実物を手にするとかなり巨大で重たい(約1.6kg)です。でも防塵防滴構造の採用、アルカスイス対応の三脚座と回転機構、しっかりしたフードなど天体用途にうれしい仕様がおごられています。特に三脚座があることは私にとって非常に魅力的でした。

タカハシEM200改赤道儀に載せたようす

 さっそく実践投入前にEM200赤道儀に載せてみました。赤道儀が大きすぎてもったいない気もしますが、これだと風の強い日でも安心していられそうです。追尾精度的にも十分で、パソコンを使ってオートガイドしなくても問題ないと思われます。ただ、フードが大きいだけにカメラレンズ用の露よけヒーター2個を連結する必要がありました。

宿泊した鳥羽市の「石鏡第一ホテル 神倶良」 

 さて、ファーストライトは思いのほか早く6月25日(金)に実施できました。この日は海の見える露天風呂を楽しむのが第一目的で三重県鳥羽市のホテルに嫁と宿泊することになっていまして、もし晴れたら適当な場所で軽くこのレンズのテスト撮影するというつもりでいました。幸いなことに当日の夜は晴れ間が出てファーストライトが実現できたというわけです。撮影場所はこのホテルの第二駐車場です。木で街灯が遮られ、コンクリートで舗装された箇所もあっていい感じでした。
 一方、空の状況は肉眼でも天の川が確認できましたが、北西は鳥羽市街、南西は志摩市街の灯りが少し目立ちました。それと風がとても強く(およそ5~10m/s)、雲が絶え間なく流れていました。

 とりあえずファーストライトのテスト撮影というスタンスで気軽に撮影を開始しました。対象はさそり座頭部、カラフルな領域を狙います。絞りは先達のネット情報からF2.2に、そしてISO感度3200、60秒露出でスタート!撮った写真をカメラのモニタで確認すると「真っ白!」。アカン!!結局、ISO感度を1000まで下げて60秒露出で撮りました。

F2.2 ISO1000 60s 1枚撮り 原寸を25%縮小した jpeg画像

 写真はその1枚をステライメージでRAW現像して何も手を加えずjpegに変換したものです。25%に縮小しています。これを見ると、周辺減光はあまり感じられません。強調処理しても補正は楽なように思えます。

四隅と中央付近の星像

 次に、中央付近と四隅の等倍画像も載せておきます。中心付近(あえてずらしています)の球状星団M4は、焦点距離100mmと思えないほどの解像力!四隅の星も少しはゆがんでいますが、収差が抑えられていてかなり優秀に見えますし、四隅のどこも均質です。拡大して見て下さい。
 これならよほど拡大して見ない限りアラは目立たないですし、少しトリミングしてやれば完璧ですね。素晴らしい!

さそり座頭部 16枚コンポジット

 そして、16枚分をステライメージでコンポジットして上下をカットし軽く画像処理した画像がこちらです。どうやら撮影時に薄雲が常に高速で通過していたので街灯りを拾って緑色のかぶりが発生したようですね。でも、これはこれできれいです(笑)。ツイッターで見てもらったところ、ルビーとサファイヤとエメラルドみたい…とコメントをもらいました。
(;^_^A

さそり座頭部 16枚コンポジット(緑色を除去)

 さらに、Photoshopで緑色を抜いて少し手を加えました。いかがでしょうか?個人的にはスッキリ爽やかになったように思います。針で突いたようにシャープな星像も素敵です。拡大すると露出不足によるザラつき感がわかりますが、もっと枚数を多くコンポジットすればより滑らかになって更なる強調表現も可能になりそうです。

はくちょう座の赤い散光星雲 3枚コンポジット

 実はもう一つ、はくちょう座サドル付近の散光星雲と北アメリカ&ペリカン星雲を対象に撮影しました。露出はさそり座頭部と同様です。網状星雲も入れたつもりが一部欠けていたので、正方形にトリミングして外しています。(笑)
 このカットの撮影時は、星を見えなくするほどの雲がひっきりなしに通過したので、わずか3枚のコンポジットにとどまりましたが、そこそこ写りました。ファーストライトのテスト撮影としては期待以上で、このレンズのポテンシャルを垣間見たようです。

 今回の撮影ではカメラのファインダーをのぞいて3等星程度まで確認できたので、よほど暗い対象でない限りパソコンなしでの運用ができるという事がわかりました。今度は条件の良い空でじっくり撮影したいなと思います。
 また、短時間露出でも充分なので、ポータブル赤道儀でも運用できないかとも考えています。さらに、レンズが明るくてシャープですから天体用CMOSカメラを使った電子観望にも威力を発揮してくれそうだなとか…。このレンズを使った楽しみが増えてきました。うまくいけばまた報告させていただきますね。
 最後までお付き合い下さってありがとうございました。(おわり)

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