月・金星・木星の接近 2023年2月下旬~3月上旬 

 2023年2月下旬から3月上旬にかけて、夕暮れの西空に細い月や金星・木星という明るい惑星が並んで輝きました。一般の人の目にも留まりやすい美しい光景の天体ショーと言えるでしょう。天気にも恵まれて一定の撮影もできたので、ここにまとめておきたいと思います。

撮影機材

撮影機材

 撮影に使った機材はPanasonicのLumix S5とLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6ズームレンズ(左)、そしてSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSMズームレンズ(右)です。いずれもF値は暗いですが、シャープな描写で気に入っています。かなり接近した場合は、自宅天文台の望遠鏡も使用しました。ミラーレスのLumix S5はほぼ月の静止画&動画撮影用ですが、バリアブル液晶モニタで、ピント合わせもしやすく大変使いやすいカメラです。

【2/22、2/23 細い月と金星、木星のランデブー】

 2月22日には月と金星が近づき、翌23日には月、木星、金星と縦に並ぶ様子が見られました。22日は地元の科学館の天体観望会のお手伝いに出かけ、観望前にちゃちゃっと撮影してしまおうと目論んでいたところ、まさかのカメラバッテリー切れ!朝から充電していたので予備のバッテリーも持たずに行ったのですが、電源を入れっぱなしだったのか撮影しようとした時には全く起動せず!!(*´Д`)やらかしてしまいました~。キレイな光景を目の前に撮影できない絶望感!やはり大事な撮影の時には予備を用意するなど万全の準備が必要ですね。(反省)
上の画像は天文シミュレーションソフト「ステラナビゲーター11」で作成したものです。こんな感じで写真を撮れたらと思っていたんですけど…

 23日には万全の準備をして近くの川まで出向きました。

2/23_18h17m 55mm F8 ISO1600 1/2s
2/23_18h32m 132mm F8 ISO3200 1.3s

 時間的にも余裕を持って行けたので、夕暮れ空の色の変化を楽しみつつ撮影ができました。景色を入れて撮影したものでは金星・木星がシャープに小さく写りすぎて、実際に感じた明るさは表現しきれていません。適度に滲んで明るい星が大きく写るソフトフィルターが欲しかったところです。このレンズのフィルター径に合うものを持っていなかったのが悔やまれます。

【2/27 美しい夕暮れ】

2/27_18h24m 60mm F8 ISO400 4s

 さて、この日以降は月が金星・木星から徐々に離れていきますが、金星と木星の間隔は徐々に狭まっていきます。3月2日には両者の離角がわずか0.5度ほどになりますので、この様子を晴れたらできるだけ撮影することにしました。
 中でも近くの川まで出向いて撮影した2月27日は空の色が美しくて強く印象に残っています。

【2/28 月と火星の接近】

2/28_19h31m 400mm F8 ISO2000 0.77s

 2月28日は月と火星がおよそ3度くらいまで接近したので、ズームレンズ望遠端の400mmで撮影しました。双眼鏡でちょうどよく両者が同一視野に収まって見ることができました。写真に撮るとどうしても月が露出オーバーになってしまいます。今さらですが人間の眼と脳の処理は素晴らしいですね。月面のようすと火星がはっきり見えるのですから…

【2/27~3/5 金星と木星の接近】

 金星と木星の撮影は毎回川まで出向くのが億劫になったので、その後は自宅ルーフバルコニーからの撮影になっております。電線がどうしても入ってしまうんですよね (^_^;) とは言え、準備が楽なのが最大の利点です。雲が多くてやきもきした日もありましたが、何とか最接近の3月2日をはさんで7日間撮影ができました。正直ここまで連続して撮れるとは思ってもいませんでした。せっかくなのでそれぞれを短冊状にトリミングして1枚の写真にまとめたのが上の写真です。時刻は微妙にバラバラで空のようすも様々ですけれど、これを見ると1日で結構惑星が位置を変えるんだなと改めてわかりますね。

【3/2 金星と木星の最接近】

 3月2日は望遠鏡で拡大撮影もしました。15cm屈折にレデューサーを装着し、焦点距離は約980mmです。そして当日出ていた月も同じ光学系で撮影し、接近具合のイメージがわかりやすいように両者を並べて画像を編集しました。これだけ近づいたんだよという記録です。

 以上、夕暮れの天体ショーをまとめてみましたが、皆さんはご覧になったでしょうか?
 月や明るい惑星が近づいて見えるというのは、肉眼でも楽しめる印象的な光景です。時間と共に変化する星空の色、天体の輝きを今回はじっくりと楽しめました。ただキレイと感じるだけでも良いのですが、それぞれの天体の距離の差や太陽系を動いているようすをイメージしながら眺めると宇宙の広がりに思いをはせることができます。

【2023年 これからの月と惑星の接近】

 2023年は3月24日夕暮れに月と金星が、6月22日夕暮れに月と金星と火星が接近します。(画像参照)
 ぜひ多くの方に見ていただければと思います。

(おわり)

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