マギヌスの魔女の顔を撮ってみました

目次

はじめに

 月面のマギヌスクレーター内部に魔女の顔が浮かぶ!!
 月好きにとっては何とも興味をそそる現象です。私がこれを知ったのはいつもお世話になっているwebサイト「月世界への招待」の記事がきっかけでした。そこでは写真やシミュレーション画像が紹介されていましたが、私自身は見たことがないシロモノ。実際どんなふうに見えるんだろう?!ぜひ一度自分の眼で確認してみたいと思った次第です。
 サイトの予報によれば2024年5月16日の21時から23時頃となっていましたので、当日は21時から撮ることにしました。幸い晴れて無事に撮影成功!ここではその結果と感想などを簡単にご報告したいと思います。

マギヌスの位置とRay現象

 さて、マギヌスについてですが、これは月南部にある直径約156kmの大きなクレーターです。位置は次の写真でお確かめください。

 そのマギヌスが朝を迎え太陽光が当たり始めるとクレーター周壁の途切れたところから内部に光が差し込み、細く一部だけ照らしだします。これはRay現象と呼ばれていて他のクレーターでも見られることがあるようです。マギヌスではそのRay現象の際、光に照らされた部分が魔女の顔のように見えるということなんですね。

魔女の顔の見え方

 先の写真でもわかるようにクレーター内部の細かい模様ですから、判別するにはある程度拡大率を上げる必要があります。そこで今回は25cm反射(μ250)に3倍バローレンズ、ASI174MMカメラを装着して撮影を試みました。1000フレームを動画で取得して、そのうち良像10%をコンポジットしてシャープ処理を施します。

 まずは21時撮影の写真で魔女の顔を確かめてみましょう。魔女の顔らしく見るために月の北を時計回りに90度回転させています。まゆ、目、鼻とくちびるがわかるでしょうか。闇の中から顔の半分が不気味に見えてこちらをのぞいているようにも見えますね。魔女の顔とは上手く言ったものです。
 そもそも誰がこれを見つけたのでしょうか?Webサイト「ほんのり光房さん」の記事によるとSpaceweather newsギャラリーでタイの人が「A witch face on Moon」というタイトルで画像を投稿(2023年4月28日撮影)したということです。これによれば、投稿者の友人が気づいたとされています。

 次に時間変化を見ていきましょう。

 写真は21時から5分毎に撮影したものを並べています。撮影中、PCのモニタ上では21時30分頃から目の部分に違和感を覚えました。目が2つ連なっているやん!!いわゆるまゆのところも目に見えて少々がっかりしてしまったんです。そんなこともあり21時45分には撮影を打ち切ってしまいました。個人的な感覚では目とまゆがわかる21時くらいが魔女らしいと思いますが、みなさんはどうお感じになるでしょう?
 よく考えてみれば、どうでも良い話ですね(笑)

過去の写真に写っていた魔女の顔

 ところで、過去に撮影した写真の中に写っていないかとふと思い、調べてみました。そうするとタイの人が撮影した同じ日に撮ったものも含めて3つ見つかりました。

 ①はまだ時間的に早いですけれど、顔のパーツを知っていればくちびるとかすかに目だけが浮かんでいることがわかり面白いです。②はちょうどいい感じに写っているでしょうか。目が微妙ですが…。③になると顔の幅が広くなってもう片方の目も欲しくなりますね。

魔女の顔から1日後のようす

 先の写真②(2022年2月9日)の翌日にもほぼ同時刻に撮影していましたので、並べてみました。

 ちょうど1日後のマギヌスと比較すると、すっかり内部に太陽光が当たり魔女の顔のパーツにあたる地形がよくわかります。これを見ればな~んだ!と思ってしまいますよね。木の葉の重なりが光と影によって偶然顔のように見えるときがあるように自然のいたずらとは面白いものです。

眼視での印象

 さて、5月16日は撮影終了後(22時頃)に25cm反射望遠鏡の250倍でマギヌスをのぞいてみました。眼視で見た感想は鼻とくちびるが(パソコンのモニタで見るより)キラッと光っていてとてもそれらしく見えたというのが第一印象です。しかもこの日はシーイングがあまり良くなかったので常に揺らいでいました。そのためくちびるが小刻みに震えて、まるで何かをしゃべっているみたいで面白かったです。それに対して目は2つ連なるように見えて私的には残念でした。魔女だけに目が二重に見えてもええやん!と割り切れればいいのですが…。
 また、魔女の顔は十分判別できましたが、倍率250倍でもやや小さい感じですね。あくまで個人的な感覚ですが、眼視で見るには最低でも200倍は欲しいかなという印象です。そうなると200倍以上が十分実用になる望遠鏡で見るのが望ましいと思われます。
 ただ、見る人によって望遠鏡によって気象条件によって受け取り方がずいぶん変わる可能性がありますし、ややぼやけた見え方でもむしろその方が魔女らしく見えるのかもしれません。次の機会では10~15cmクラスの望遠鏡でものぞいてみたいと思います。

おわりに

 以上、簡単に報告をさせていただきましたがいかがだったでしょうか?
 ご興味ある方はぜひご覧になってみて下さい。
 最後になりましたが、正確な予報とくわしい解説をしていただいた「月世界への招待」さんにお礼を申し上げたいと思います。おかげさまで確認することができました。
 ありがとうございました。m(_ _)m

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