2024年7月25日の早朝、土星が月に隠される土星食がありました。時刻は京都で潜入が6時26分頃(高度約28度)、出現は7時22分頃(高度約17度)。すでに太陽は昇っている時刻です。空が明るいので条件的には良くありません。土星は金星や木星に比べてかなり暗いので、果たしてどの程度の見え方になるか気になっていました。
ところが、前日にチェックした天気予報では25日朝は曇りでひょっとすると雨が降るとのこと。これはほとんど見れる可能性はないなと思いましたが、念のため当日は朝6時に起きて天気をチェックしました。
すると何ということでしょう!月が白く見えているではありませんか!!近くに雲はそこそこあるもののひょっとするといけるかも!とあわてて準備をしたのでした。
機材はμ250(f=3000mm)に2倍エクステンダーをつけてフルサイズ一眼カメラ(Lumix S5)で狙いました。ところが、月でピントを合わせても土星が見えない(;^_^A 視野には入っているはずだけどカメラの小さな液晶モニタでは判別が難しい~
刻々と時間が迫る中、μ250直焦点にASI 224MCをつけてパソコンでの撮影に切り替えました。画角に対して土星が大きく写りますし、PC画面で見る方がとらえやすいと判断したからです。使い慣れたキャプチャーソフトFireCaptureでゲインやシャッタースピード、ピントを調整すると薄っすら土星が見えてきました。良かった!予想していたもののかなりうすいです。月が雲の開いたところにいてくれたおかげで何とか間に合いました。その時撮影した動画がこちらです。(SER形式で撮影、編集しMP4形式で出力)
動画の時刻は6時25分30秒から27分00秒までです。かろうじて細い環も見えるかと思いますがいかがでしょうか。潜入の途中に薄雲が通過して土星が見づらくなっています。
さて、この動画から①環が月縁に接する頃、②土星本体が月縁に接する頃(潜入開始)、③土星本体が月縁にすっかり隠される頃(潜入終了)を切り出して並べてみました。
それぞれ、厳密に決めるのは土星がうすいだけにかなり困難な作業です。①②③の時刻は目をシパシパさせながら動画を何度も見て、エイヤ!と決めました。
正確に求められたかというと自信はありません(笑)。③の土星の環はもはや心眼でないと見えないレベルですよね?!
こちらの画像は強調バージョンです。
X(旧Twitter)でお世話になっているkurichan otukimi (@k_otukimi)さんによって処理されご提供いただいたものです。ありがとうございます。
これで心眼を使わずとも環がわかりやすくなりました!
気になったので、国立天文台の暦計算室>惑星食各地予報(以下のサイト)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/occulx_p.cgi を使って観測地の緯度経度等を入力し計算してみると…
②潜入開始が6時26分11秒、③潜入終了が6時26分53秒でした。
動画から求めた時刻とは②で誤差3秒、③で誤差2秒という結果に。まあ、土星の像の不明瞭さからすれば仕方のないところでしょうか。
もう少し、土星食が良くわかる写真がほしいな…ということで
この画像は、 動画から土星の部分をコンポジット処理して、少し滑らかにした上で①の画像に貼り付けた画像となります。
これで、少しは土星が見やすくなり、青空の中で起こった土星食という現象を表現できたのではないかと思います。
でも、天文にあまり関心のない方にとっては何コレ?って言われそうですね。
こちらの画像は先の画像を強調したものです。
これもkurichan otukimi (@k_otukimi)さんの手によって処理されたものです。私にはここまで強調する技がありません。感謝です!
おかげさまで土星の姿形がとても明確になり、誰が見てもわかる写真となりました。
m(_ _)m
そして、ほぼ1時間後の出現ですが…
残念ながら、月は雲に隠されてまったくわかりませんでした。赤道儀で土星を追いかけていたはずだったんですが、パソコンの画面は真っ白!これではどうにもできません。
もともと曇り雨の予報だったので、仕方ありませんね。潜入だけでもとらえられたので良しとします。
しかし今回、昼間の土星が難物であることを認識することができました。比較的太陽から離れている条件でこれですから、太陽にもっと近ければさらに難しくなるでしょう。空の透明度にも大いに影響されるだろうことは想像に難くありません。良い勉強にはなりましたが、やはり土星食は夜間に楽しみたいものですね。
次回、2024年12月8日に夜間で条件良く見られる土星食に期待したいと思います。(おわり)