2024.9.5 月と金星の接近

 2024年9月5日、夕暮れの西空に三日月(月齢2.3)と金星が接近して見えました。両者の離角は約1.8度。これ以上近くに細い月と金星が接近するようすを肉眼で観察できるのは2026年9月14日の夕暮れまで待たなくてはいけません。
 そういう意味で今回の接近は貴重な機会と注目していました。幸い当日は晴れてじっくり観察・撮影できたのでここに報告します。

撮影地のようす

 秋分に近い時期の三日月は、日没後すぐに沈んでしまいます。自宅のある京都府南部では日没30分後の月の高度が約5度です。なので、出来るだけ西の方角が開けた場所で見る必要があります。自宅からは厳しいので、近くの川の堤防まで出かけました。

撮影機材の準備

 日没直後くらいに現着して機材を準備。気温は30度くらいでしたが、湿気も少なく風も適度にあったのでわりに快適でした。一緒に行った嫁に撮られた写真はスクワット的な姿勢で真剣に地上の景色でピントを合わせているところです(笑)。

 ほどなく金星と月が見えてきました。空の明るさや色の変化の中で徐々に存在感を増す月と金星。そのようすを広い空の中、肌にあたる風や虫の音、草のにおいも感じながら味わえるのはしあわせに思います。癒されました~。
 以下、撮影編集した写真をご紹介します。

18:54撮影  【露出】F2.0 ISO800 1/30秒

 これは日没35分後、空の色が最もきれいに写ったタイミングです。肉眼で見るよりも色鮮やかに写りますね。ホワイトバランスはAutoですが、赤色が豊かなのはカメラ(Nikon D810A)の特性かもしれません。レンズ(SIGMA 105mm F1.4)は星像がシャープすぎて金星が目立たなかったので、実際の見た目に近くなるようPhotoshopで少しにじませ明るくしました。ちなみに写真の中の黒い影はコウモリです(^_^;)

18:59撮影  【露出】F2.0 ISO800 1/15秒 ※トリミング有

 もう少し時間が経って暗くなってくると空の赤みが落ち着いてきました。SIGMA105mmで撮った画角は、肉眼で月などを凝視した時の感覚に近いかなと個人的には思っています。

 さて、もう一つのカメラでは少しアップにして撮りました。SIGMA 100-400mm F5-6.3(400mmで使用)とPanasonic Lumix S5の組合せです。

18:57撮影  【露出】F6.3 ISO6400 1/5秒

 レンズのF値が暗いので、地球照を撮るためには1秒程度の露出が必要です。それで日周運動のブレを防ぐためポータブル赤道儀に載せて撮ることにしました。しかし、期待していた地球照は肉眼ではわからないほど目立たず、写真にも明確に写らなかったです。残念!

19:01撮影  【露出】F6.3 ISO6400 1/3秒 ※トリミング有

 さらに時間が経って空も暗くなってきました。ひとつ前の写真に比べると月の輪郭がわかりやすくなっていますね。この写真は少しトリミングしています。

 月がだんだん山に近づいてきたので、Lumix S5カメラボディを経緯台に載せた10cm屈折望遠鏡(PENTAX105SDHF+レデューサーで504mm F4.8)に装着し、沈むようすを動画に撮りました。

19時6分撮影開始

 Lumix S5の最も拡大率の高い4K動画(30fps)を撮って、そこから1920×1080pixelの範囲を切り出しています。月の入りをどこまでアップで迫れるかということでチャレンジしましたが、望遠鏡+レデューサーのF4.8でも明るさが厳しいですね。ISO40000まで感度を上げているので画質はよくありません。
 画質はともかく、動画を見ると月が歪んで見えていますし、かなりぼやけた映像です。この時の月の高度は約1.5度ですので、大気の影響がかなり大きいことがわかります。

 以上、撮影時のようすも含めてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?みなさんもご覧になりましたか?
 やはり三日月と金星が近くで寄りそって輝くようすはインパクトがありますね。次回も天気に恵まれて多くの人の目にとまってほしいなと思います。(おわり)

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