2024年11月3日、前日の大雨とはうって変わり、朝から快晴のすばらしいお天気に恵まれました。予報によれば夜まで快晴になるとのことだったので、月齢1.8の細い月と近くに見える水星を撮影しに出かけることにしました。
場所は先日紫金山・アトラス彗星も撮影した万灯呂山展望台。自宅から車で約30分の西が見渡せる撮影地です。
日没の30分前には到着し機材を設置しました。1台は400mmレンズで月中心に狙い、もう1台は200mmレンズで月と水星が沈んでいくようすをタイムラプス撮影でおさめる計画です。
当地での日の入は17時03分ですが、地平線より山の稜線がわずかに高く、太陽が隠れたのはジャスト17時00分でした。太陽が没した山の稜線の高度はおそらく1度未満だと考えられます。計画にはなかったのですが、日の入も400mmレンズで動画撮影を試みました。露出はカメラのPモードに任せてやってみましたが、結果は露出オーバー気味で不自然に…。やはりM(マニュアル)モードで撮るべきでした(反省)
撮影地での日の入は17時03分ですが、地平線より山の稜線がわずかに高く、太陽が隠れたのはジャスト17時00分でした。太陽が没した山の稜線の高度はおそらく1度未満だと考えられます。計画にはなかったのですが、急きょ日の入も400mmレンズで動画撮影を試みました。露出はカメラのPモードに任せてやってみたところ、結果は露出オーバー気味で不自然に…。やはりM(マニュアル)モードで撮るべきでした(反省)
さて、この日の月齢1.8の月は輝面比0.03(月面の3%が太陽に照らされている)で、今までの経験上これくらいなら薄明の中でもハッキリと肉眼で見えるはずという感覚を持っていました。ところが、秋分に近い時期は日没後の西の地平線に対して黄道(太陽の通り道)が寝ており、その近くを通る月齢の若い月は高度が低いことが知られています。2024年は白道(月の通り道)が黄道よりさらに寝ているため日没30分後の月の高度が約1.5°とかなり低いのです。これは空が十分に暗くなる前に月が沈むことを意味しますから、かなり手ごわいと予想できました。
ちなみに2024年の春分に近い4月10日(月齢1.6)の月は西の地平線に対して黄道・白道が立っていて日没30分後の月の高度が14.7°もあります。図を見てもらえばわかるように、同じような月齢でも全く見える高さが違います。つまり、夕暮れの極細月を見るには春分に近い頃は有利で、秋分に近い頃は不利なのです。
今の時期、金星が一番星として西空に輝きます。日没後すぐに双眼鏡でとらえることができました。金星からだいたい右斜め45度下の方向に月があるはずです。とりあえず何度も捜索して双眼鏡で見つけたのが17時15分頃、背景の空が明るいだけにかなり微かな見え方でした。その月から双眼鏡の視野をまっすぐ降ろし、山の稜線の特徴を覚えてカメラをそちらへ向けました。すぐさまタイムラプス撮影を開始。
一方、月を肉眼で確認できたのは17時20分過ぎくらいだったでしょうか。でも、ココにあると思って注視しないとわからないレベルです。400mmレンズを向け、モニタ画面を確認しながら順次撮影していきました。
次の写真はおよそ3分毎に撮ったものを3枚並べてみました。きっちり各時刻0秒で撮っていないので時刻は正確ではありません。月の高度は左から、およそ2°、1.5°、1°になります。さすがに低空では大気による減光が激しいですね。また、月の形が上下につぶれたり、波打ったりしています。これも大気のいたずらです。
ちょうどこの頃、夕焼けがきれい~と言っていた若者のグループに細い月見えてますか?と声をかけると全く気付いていないようす。それで、カメラのモニタ画面を見てもらってレンズの方向に肉眼でも見えるよと教えてあげました。見えたという人も見えないという人もいましたが、みなさん喜んでくれました。みんないい感じの人たちでいろいろ話ができて楽しかったです♪
水星も入れた写真も紹介します。月の右上に離れて見えているのが水星です。一応光度は-0.3等級なんですけど目立ちませんね。肉眼でも注視しないとわからない感じでした。やはり低いと顕著に暗くなってしまいます。
ところで、タイムラプス撮影はどうなったかといいますと…実はまさかの大失敗!!なんとズームレンズの200mmで撮ったつもりが78mmという変な焦点距離になっておりまして、写った月が小さいこと。おまけに露出もうまくいっておらず人さまにお見せできるシロモノではないのでした。
自分的には200mmで撮っていたつもりだったのですけれど、自宅へ戻って写真を確認して愕然となりました。なぜこんな失敗をしたのか自分でもよくわかりません。やはり、撮影を始める前に試し撮りをして確認をすべきでした。あとタイムラプス撮影の設定も見直さなくてはなりません。精進しなければ…。
というわけで残念な失敗はありましたが、とりあえず日没30分後くらいの超低空にある細い月が観測できたのは貴重な経験となりました。今後も天気に恵まれたら極細月の検出にチャレンジしていきたいと思います。(おわり)