2024.12.25 スピカ食

 2024年12月25日の未明、月齢23.5の月に隠される「スピカ食」がありました。2024年は8月10日夕暮れにもスピカ食があり見ることができました(その記事はこちら)。前回の記事の最後に12月25日にはさらに良い観測を!と書いていましたが、不覚にも23日から風邪をひいてしまい、鼻水が止まらない状況(+_+)。そのせいもあって観測のモチベーションが上がらず、まあ晴れたらちょろっと撮影できたらいいかぁという情けない精神状態で当日を迎えたのです。

 天気予報ではスピカ食の時間は少し雲が出そうな感じでした。でも完全な曇り予報ではなかったので、一応潜入の30分ほど前に目覚ましをかけて早めに寝ました。はたして、起きてみると、うおっ~見事に晴れている!鼻水を垂らしながらカメラを持って天文台へ。うちの天文台は東西に開くスライディングルーフ仕様で東に低い月がけられないか心配でしたが、何とか大丈夫でした。(事前確認もしなかったという怠慢さ)

 とりあえず主砲μ250に2倍テレコンバーターを装着したミラーレスカメラLumix_S5を月に向け動画撮影の準備をしました。前回は30fpsでの撮影でしたが、今回は潜入・出現時の分解能を少しでも上げるため60fpsに設定。そして前回と同じくインターネット時報を自動読み上げにし、映像と共に音声も記録します。

 こうして潜入と出現を雲のじゃまなく無事に記録できました。4K撮影したものを2K相当にトリミングし、潜入と出現をつなげて編集した実時間の映像を以下に紹介します。時報読み上げの音声から潜入が3時11分20秒、出現が4時14分13秒頃でした。

 さて、潜入と出現時に段階的な変光がどのように起こるかをビデオフレームを1枚ずつ切り出して調べようとするわけですが、実は潜入時の撮影でミスを犯しておりました。60fpsの設定にしたにもかかわらず、1/30sのシャッタースピードで撮っていたのです。これでは60fpsにした意味がありませんよね。幸い潜入後、これに気づきシャッタースピードを1/60sとして出現は撮影できましたけど(^_^;)

 ビデオフレームを調べてみると潜入時は案の定、同じ写真が2枚並んでいました。それより、低高度の影響でシンチレーションが激しく、拡大して見るとフレーム毎にスピカの明るさが明るくなったり暗くなったり大きく変化していることがわかりました。これでは潜入時の減光のようすが正確にとらえられません。加えて月の明縁に潜入するため、暗くなりかけのスピカの光が検出しづらい状況です。それで潜入時の段階的な変光のようすは調べられないと判断しました。
 対して出現時は暗縁から出るのでスピカの光が暗くてもとらえやすくなります。そして1/60sでシャッターを切っているので、1/30s毎よりも細かく変光のようすをとらえることができます。高度が潜入時より高くなっているのも有利です。その結果をまとめたのが下の画像です。

 5~7はほぼ明るさが変わっていないので、5以降は完全に出現したと考えて良さそうです。このことからスピカが出現し始めてから完全に出現し終わるまで5/60秒(=1/12秒)程度かかっていることがわかります。8月10日のスピカ食の際、30fpsで撮ったビデオから1/10~1/15秒かかったと考察しましたが、より細かく求められたということになるでしょうか。あくまで簡易なビデオ撮影によるものなので、これでどこまでのことがわかるのかはよくわかりませんが、機会があれば単独の恒星の食と比べてみたいなと思いました。

 ついでに1フレーム毎を1秒間隔のGIFアニメにしてみました。実時間を60倍スローに見ているということになります。

 というわけで、体調の悪い中、最低限の記録を撮ったというスピカ食でした。次回の1等星の食は2025年11月13日に東日本で見られるレグルス食です。ただし、昼間(午前10時前後)の現象なのでどちらかと言えば天文マニア向けですね。(おわり)

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