15cm屈折によるペア天体の撮影-CometBPフィルター使用-

 2022年1月8/9日、風も弱く良く晴れたので、月が沈んでから星雲星団銀河の写真を撮りました。しぶんぎ座流星群の遠征で少し疲れが出たこともあって寒空の中出かける気になれず、自宅でのお気楽に撮影です。テーマとして15cm屈折+レデューサー=焦点距離990mmで2つの天体が一度に撮れるものを選ぼうと考えました。望遠鏡でも低倍率で同一視野に入る「ペア天体」というわけです。
 対象は①とも座の散開星団M46M47②おおぐま座の銀河M81M82③おおぐま座の惑星状星雲M97+銀河M108に絞りました。特に③は初めてで一度撮ってみたいと思っていた対象でした。カメラはNikon D810A。昨年入手したCometBPフィルターを使用して、どんな感じに写るかのテストです。

 まずは①とも座の散開星団M46M47です。

とも座の散開星団M46(左)M47(右):ISO1600 露出180s×12

 M46はかなり細かな星がびっしりと集まっている散開星団で、その中に小さく丸く見える惑星状星雲NGC2438があります。一方M47は比較的明るい星がまばらに集まっています。これら2つの散開星団が近くに見えるため「南天の二重星団」と呼ばれます。
 焦点距離990mmでは、ギリギリおさまる感じになりました。フラット処理が上手く言ったのでトリミングせずに仕上げられたので良かったです。冬の天の川の中なので星団以外の場所も微光星が多いです。散開星団が美しく見える写真に仕上げるのは難しいですね。

 参考までに光害が少ないところでノーフィルター10cm屈折の焦点距離504mm(トリミングあり)で撮影したM46M47を紹介します。

とも座の散開星団M46(左)M47(右): 2017年3月に撮影

 比較するとこちらの方が星団が判別しやすいですね。この写真、星の色はカメラのスケアリングが狂っていたのか、左がシアン、右がマゼンダに偏っていますけれど、ノーフィルターの方が星の色は出やすい気がします。CometBPフィルターで撮れば星の色も豊かに出るかと期待していましたが、今一つの感があります。
 やはり散開星団はもっと短い焦点距離かつ光害が少ない場所で撮影するのが良さそうですね。

次に②おおぐま座の銀河M81M82です。

おおぐま座の銀河M81(下)M82(上):ISO1600 露出180s×25

 この2つの銀河は比較的明るく、小型望遠鏡でも見やすい対象です。M81は典型的な渦巻銀河。M82は複雑な形の不規則銀河。数千万年前、両者は接近遭遇しM81の強力な重力でM82が変形したと考えられています。そんな2つの銀河が一度に見えるのはなかなか興味深いですね。写真はフラット処理があまり上手くいかないこともあって大きくトリミングしています。銀河中の赤い光を発する領域を強調した写真を良く目にしますが、ここではおとなしめに処理しています。

次の写真は、以前自宅から同じ望遠鏡のノーフィルターで撮影したものです。

おおぐま座の銀河M81(下)M82(上): 2019年3月に撮影

 比較するとCometBPフィルターを使って撮影した今回の方が明らかに銀河の薄い部分が写っています。やはりフィルターの効果はしっかりあるようです。

最後に③おおぐま座の惑星状星雲M97+銀河M108です。

おおぐま座の惑星状星雲M97(下)銀河M108(上):ISO1600 露出180s×23

 M97のニックネームは「ふくろう星雲」。丸い形がふくろうの顔のように見える(暗い2つの丸はふくろうの眼)ということからついた名前です。このM97は惑星状星雲としては大きい方ではありますが、暗いので空の条件の良いところでないと望遠鏡で見るのは難しい対象です。
 M108も暗いのでM81M82ほどはっきりわかりません。比較的大きな望遠鏡の低倍率で同一視野に見えた時は円盤状と棒状の形がわかりおもしろいです。
 写真に撮ると細部の様子が眼視より良くわかり色も判別できるので、そこが魅力ですね。ちなみにM108は渦巻銀河でそれを真横から見ている姿のようです。写真はM81M82と同様のスケールでトリミングしています。

 以上、3つのペア天体の写真報告でした。背景の粗さも少し目立っていて写真の仕上がりは今一つですが、自宅で仮眠もしながらのお気軽撮影としては合格点だと思っています。この日の最低気温は天文台の温度計で-3度。望遠鏡には霜がついていました。寒い冬の時期、山で一晩撮影するのは身体にかなり負担をかけるので、自宅でそこそこ撮れるのは本当にありがたいです。
 CometBPフィルターの効果も感触はつかめたので、また条件の良い日があればボチボチ撮っていきたいと思います。(終)

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