2024年8月12/13日、ペルセウス座流星群の極大夜に遠征して一定写真の撮影ができましたので報告します。
観測地は京都市左京区の北に位置する花脊。有名な貴船、鞍馬からさらに山道を登ると標高759mの花脊峠があり、それを越えたところにある集落です。当然、南の空は京都市の街灯りが目立ちますが、峠がある程度ブロックしていることで天頂から北の方は天の川が見える美しい星空が広がります。元の職場の同僚Yさんが場所を提供してくれたので今回はお世話になることにしました。
お盆休みの方も多いこの時期、メジャーな観測地はどこも混雑します。ですから、一般の方が出入りしなくてトイレもある場所は本当にありがたいです。いつもの星仲間Tさんと久しぶりに流れ星を見たいと言った嫁と3人で出かけたのでした。
天気は東北をゆっくり横断する台風5号の影響か、けっこう雲が出そうな予報でしたが、到着した21時頃から快晴に近い状態でした。その後3時前後に雲が多い時間があったものの、期待以上の天気だったと言えます。
今回の目的は、放射状に飛ぶ流星群らしい写真を撮ることでした。2018年のペルセウス座流星群ではそういう写真が得られたもののレンズにソフトフィルターを装着していなかったので星座の形が分かりにくくて不満に思っていました。今回は2種類の広角レンズにフィルターを装着して星座の形がわかりやすい流星群写真を目指します。
複数のコマに写った流星を比較明合成で仕上げるのですが、そのために赤道儀で追尾しながら撮るという方法で撮影しました。
というわけで、今回得られた結果がこちら。
【データ】
レンズ SIGMA 14mm F1.8
カメラ Nikon D810A
露出 F2.0 ISO 6400 10秒
ポータブル赤道儀使用
Photoshopで比較明合成その他
トリミングなし
※D810Aは赤い星雲の写りが良く、天の川が良い感じに写ります。
【データ】
レンズ SIGMA 20mm F1.4
カメラ Panasonic Lumix S5
露出 F1.4 ISO 3200 6秒
ポータブル赤道儀使用
Photoshopで比較明合成その他
トリミングなし
※SIGMA 20mm F1.4は周辺まで星が点に写ってすばらしい!
※3時前後に雲が多かったです。
上の写真の最上部に写っている緑色の流星は13日0時46分50秒くらいに現れた火球でこのあと爆発的に明るくなりました。Tさんと嫁はそれを見て叫んでいましたが、私は1台のカメラの写野を調整中で見れてません!残念~!写真も明るくなった部分が画面に切れていて残念~!流星写真あるあるですよね。
しかぁ~し、Tさんはしっかり写真にとらえていました。お見事!その写真がこちら。掲載許可いただきましてありがとうございます。
【データ】
レンズ SIGMA 15mm F2.8 FISHEYE
カメラ Canon EOS6D
露出 F2.8 ISO 3200 10秒
三脚固定でTさんによる撮影
※長さ、明るさとも申し分ない火球ですね!
実はこの火球、自宅にセットしていた防犯カメラでもとらえていました。その動画(モノクロ)がこちら。
この動画はATOM Cam2 のナイトビジョンモードで撮影したものです。
最後に爆発的に明るくなっていることと、その後しばらく痕が残っているのがわかります。
花脊と自宅では直線距離で40㎞ほど離れているので、花脊とは違う場所に現れていますね。
さて、三脚にカメラを固定しての撮影も適当におこなっていました。
放射点が十分に昇るまで北を狙った画像です。
【データ】
レンズ SIGMA 14mm F1.8
カメラ Nikon D810A
露出 F2.0 ISO 6400 10秒
三脚固定撮影
背景はSequatorでコンポジット
Photoshopで流星部分を比較明合成その他
トリミングなし
※一応、流星を合成しましたが苦労しました(^_^;)
この上の画像を見てみると北極星の下の低空が少し赤味を帯びているのがわかるでしょうか?実はこの夜、北海道をはじめ北の方では明るく赤い低緯度オーロラが観測されていました。能登半島や長野中部でも見られたとSNSのX(旧Twitter)で報告されています。ひょっとして、京都の花脊でも目で見てわかりませんでしたが、写真では写るくらいかすかなオーロラがとらえられたのではないかと思いました。
そこで、時間的変化をみようと連続撮影した写真を使ってタイムラプス動画を作ってみました。それがこちらです。
この動画は8/12の22:51~24:40に撮った写真から編集した300倍速のタイムラプスです。開始から2~8秒、時間にしておよそ23時~23時半頃に北極星下の低空が赤っぽくなっていると思います。
いかがでしょうか?木の高さは7度くらいあります。これでもっと地平線付近まで見えていたらさらに明るく見えていたかもしれません。個人的にはこれはオーロラの上部の薄い部分だと考えているのですが、肉眼ではまったく気づかなかったのでこれでオーロラが観測できたと言っていいのかは正直微妙です。
真夜中過ぎまでカメラをどこに向けるかとかごにょごにょと作業をしてなかなか落ち着きませんでした。でも1時頃からリクライニングチェアに座ってゆったりと流星をながめることができました。その時、場所を提供して下さったYさんがなんと温かいコーヒーを差し入れしてくれましてありがたや~。おかげで流星オプション付きの星空カフェに早変わり。気温は20度前後まで下がりましたが、私は厚めの長袖シャツでちょうど涼しく快適でした。嫁は私が念のため持っていった防寒着を全部着込んで、こんなに寒いと思わなかったと言ってました(笑)。街の熱帯夜がウソのようです。
肝心の流星群は、最近のふたご座流星群に比べると明るさ・数共にかなりおとなしい印象でした。私で10個くらい、比較的空を長く見ていた嫁が20個くらい見たと言っておりました。もっと見れてもいいはずなんですけど。30年ほど前の母彗星スイフト・タットルが回帰して派手に飛んでいた頃が懐かしいです。
夜明けが近づいてくると東の方から明るい木星と火星が寄り添って昇ってきました。そのようすも14mmの超広角レンズで撮影です。
【データ】
レンズ SIGMA 14mm F1.8
カメラ Nikon D810A
露出 F2.0 ISO 6400 6秒
三脚固定撮影
トリミングなし
すでに東の空には冬の星座が昇ってきています。おうし座の中の木星と火星は離角がわずか1度です。流星も写っていますね。左下(北東~東北東)の空に赤っぽく見えるのは薄明の影響だと思われます(まさかオーロラではない?!)。右側の空が明るいのは滋賀県南部の街灯りでしょう。
以上、2024年のペルセウス座流星群の極大夜の撮影をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。
今回の目的だった流星群らしい写真は得られたし、ひょっとしてオーロラと思われる写真にもテンションが上がったし、天気は予想以上に良かったしと結果的には満足できる遠征でした。(Tさんも嫁も大満足!)
これも場所を快く開放して下さったYさんのおかげです。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。(おわり)