8/15夜は 月面・木星面祭り

 2021年8月15日の夜は,月では月面Xが見られ,木星ではガリレオ衛星が集結して非常に珍しいイベントがあるという注目すべきタイミングでした。いわば月面・木星面祭り!撮影するしかありません。
 しかし,ペルセウス座流星群ピークの前から前線の影響で日本は広い範囲で悪天候が続いていてあちこちで災害も起こる始末。事前にTwitterなどから情報を得ていたので,なんとか晴れてほしいと願っていました。
 この日の夜は雨が上がり少し晴れ間も見られるかもしれない天気予報だったので,夕方から天文台を開けて準備をしていました。

まずは,月面X。(⇒くわしい説明はこちら
予報によれば20時ころに見えるとのこと。経験的にその前後1時間くらいはXの文字が確認できるので19時ころからスタンバイしました。しかし,雲がかなり厚く月がすっきり顔を見せてくれません。ヤキモキしましたが,19時半近くになってようやくおぼろげながら全体が見え始めて,その後は隠れたり現れたりの繰り返し。15cm屈折の直焦点(f=1200mm)にNikonD810Aをつないで,全体が見えたらシャッターを切りました。それで,ピックアップしてまとめたのがこの画像です。やはり時間とともにX形も微妙に変化していますね。

一方,25cm反射μ250(f=3000mm)にエクステンダー(約2倍)を装着し,CMOSカメラ(ZWO:ASI224MC)で動画も撮影しました。ちょっと,拡大しすぎの感もありますが,この動画を再生して望遠鏡で見た気分になっていただければ幸いです。ええ,空気のせいでかなり揺らいでいます。でも写真みたいにピタッと止まって見えることはまずありませんからね。少々揺らいでいる方が生の光を見ているぞって気になるもんです。

さて,19:40ころから月が雲に隠れてしまったので,見切りをつけて木星へと望遠鏡を向けることにしました。

木星の第一の注目イベントは,尊敬する山田陽志郎さんのTwitter情報から教えてもらった「大赤斑に衛星の影!」です。このPCソフトのシミュレーション画像では,21時2分に衛星カリストの影が大赤斑の中にあって,まるで「赤い目の黒い瞳」みたいなようすになっています。これは面白い!こんなの初めてだ!ぜひ撮りたい!

というわけで…木星を望遠鏡で導入しようとすると,あ~意地悪な雲がみるみるうちに木星を隠してしまいました。なんということでしょう!とりあえず,木星の前から雲がどいてくれるように願をかけました。

そのかいあってか,21時前に木星が輝きを取り戻してきました。やった!早速,木星を望遠鏡で捕捉!ピントを合わすと…あれれっ!

カリストの影が大赤斑から外れているぞ!計算の誤差か?
ひょっとしてこれから大赤斑に入るのか,逆にますます離れるのか?
ソフトウェアで確かめると木星の自転の方が影より速く東の方へ動いていくので,離れていくことが判明。あら~遅かったのね~残念!

しかたがなく,予定通りの21時2分に撮影したのがこの写真です。
雲に隠れていなければ,「黒い瞳の大赤斑」が撮れていたかもしれません。木星の高度が低いことと空気の揺らぎが大きいことであまりシャープな写真にはなりませんでした。

(μ250:合成焦点距離6650mm/ADC使用/ASI224MC/撮像フレーム数5700/AS!3で50%スタック/RegiStax 6でウェーブレット処理)

第二の注目イベントは,木星の4つのガリレオ衛星が木星の前を通るか後ろの影に隠れて,木星から離れて見えないというレアな現象になるというもの。これもTwitterの情報から知りました。
シミュレーション画像では木星の左端にエウロパ,ガニメデ。右端にガリスト。以上が木星の前にあります。そして右に離れたイオが木星の影に隠れかけています。0時40分過ぎにはイオが見えなくなるはずです。

しかぁ~し,この時間帯は厚い雲に隠され撮影できませんでした。
なんという不運。残念だぁ。

代わりに何とか薄い雲越しに見えていた23時19分に撮ったものがこの画像です。これはこれで4つのガリレオ衛星が木星近くにコンパクトに集まって見えているので,わりに珍しい状況と言えそうです。

というわけで,なかなか雲にはばまれて思うように撮影できなかった夜でしたが,全国の天文ファンも同じような思いで空を見上げた人が多かったのではないでしょうか?
(共感してくれる人がいるとうれしい)

でも,長く悪天候が続く中で,かろうじて天文現象に触れられたことは良かったと思います。やはり,コンピュータの画面上ではなく実際の星空の下で直接観測するのがいいですよね。

以上。

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