2021年10月2日~4日のいずれも未明,3日間にわたって安定した晴天に恵まれ,月齢24.8~26.8の地球照を撮影できました。今回の撮影では過去のものに比べてきれいに撮れたのでご紹介します。
よく考えてみると今までは月面に露出を合わせて撮影することに重点をおいていたので,地球照の撮影はいわばオマケとしか考えていませんでした。
まずは過去に撮った地球照の写真を見てもらいましょう。
こちらの画像は15cm屈折望遠鏡(APM ZTA152/F7.9 f=1200mm)にNikonのD810Aボディを装着して直焦点で2020年に撮影したものです。もちろん赤道儀で追尾しながらの撮影です。
地球照の写真としては少し露出不足ぎみですね。月面の模様も今一つシャープ感がありません。当時の私は,地球照はこんなものだろうと軽く考えていました。
今回撮影に使ったカメラは2021年春に新しく購入したPanasonicのLUMIX S5です。S5は最高ISO感度が51200。D810Aの同12800よりも高感度で撮影可能で,高感度耐性も1ランク上に感じられます。
また,バリアングルの液晶モニタが撮影時には非常に便利です。無理な姿勢を強いられることがありません。操作もわかりやすく使いやすいので,最近はもっぱら月の撮影にはS5を常用しております。
そして3日間の撮影結果を画像のようにまとめました。いずれもISO感度2500で露出1.6sです。なんか中途半端な値になってしまいましたが,これくらいが地球照の標準露出として良いかもしれません。
画像処理はPhotoshopでRAW現像,トーン調整,シャープ処理等を行っています。拡大して見てみるとザラつきが見えるのでシャープ処理を強くかけすぎたかもしれません。しかし,最初にご紹介したD810Aで撮影したものよりは圧倒的に良く写っていますね。個人的にここまで地球照をはっきり写せたのは初めてです。拡大して見て下さい。
さて,3日間の写真を比べてみると,月が細い方が地球照は明るく写っています。これは地球の照り返し面積が増えてくるので当然と言えば当然の結果ですね。でも月が細くなるほど撮影時の高度が低くなり薄明も始まるので,コントラスト良くシャープに写すには不利になります。秋分の頃は未明の細い月の高度が他の時期に比べて高いので,月(地球照)の撮影は今年2021年の場合,10月3日,4日あたりがベストのタイミングだったと言えそうです。
10月3日には,他にもう少し露出をかけた写真(ISO2500 4s露出)があったので,できるだけ地球照が明るくはっきりと表現できるように画像処理してみました。ぜひ拡大して見て下さい。けっこうシャープに月の地形が見えると思います。月の輝く部分は明るすぎてハレーションも激しいですが,これはこれで地球照の表現としてはありかもしれません。
また,地球照の動画にも挑戦しました。D810Aでは最高感度にしても写らないとあきらめていたのですが,LUMIX S5では最高感度51200(SS:1/30s)でなんとか写ってくれました。(動画を再生すると月面適正露出から地球照が見える映像へ変化します。)
カメラの進歩は凄いですね。皆既月食も動画で写るか試してみたくなりました。
次回良い機会に恵まれたら,この経験を活かしてさらにきれいに写せるよう頑張ってみたいと思います。
以上,2021年秋の地球照撮影チャレンジでした。