8月29日,天気予報では夜の降水確率0%。ただし,GPV気象予報によると多少雲が出そうな気配。でも,20時頃は快晴だったのでとりあえず天文台の屋根と望遠鏡の蓋を開けて観測準備をしました。
前日の夕方,AstroArtsさんから入手した「晴天祈願」などのお札(写真参照)を望遠鏡フードに貼ったので効果を期待して…
土星が南中に近づく22時頃,天文台に上がると雲一つない快晴です。いつもの手順で土星の撮影を済ませて,次に木星へ望遠鏡向けました。土星でも感じたのですがモニタで見る限り,なかなか最近にしては気流が落ち着いていてよく見えます。お札の「気流安定」が効いたかな?
そこで,少し前にTwitterでTaizoさんという方が1時間余りの木星自転動画を投稿しておられて自分も撮ってみたいと思っていたので,急遽挑戦してみることにしました。
方法は主砲μ250+バリエクステンダー+ADC(合成f=6600mm)にASI224MCを装着し,FireCaptureで動画を撮像します。Taizoさんによれば1時間あまりで30コマの木星画像を得られたとのこと。つまり2分毎に撮像されたということですね?!
そこでとりあえず60秒間撮像して,60秒のインターバル,でまた60秒間撮像,…を繰り返し,行けるところまで撮ってみようと方針を決めました。
22時26分から撮り始めて,せめて1時間は晴れのままでいてほしいと願いましたが,お札のおかげか曇る気配なし!そのまま順調に撮像を繰り返し2時間頑張りました!
さて,翌日これらの動画データ(1ファイルあたり約7400フレーム)を,いつものようにAutoStakkert3でスタックし,RegiStax 6でウェーブレット処理,Photoshopで明るさ色味等を調整し,60枚の木星画像を作成しました。個々に同じ処理を施していく,結構めんどくさい作業です。できた画像のファイル名の先頭には時間順に番号をつけておきます。
これらの画像をコマ送り的に再生して動画にすればよいのですが,今回はPhotoshopの機能を利用して行うことにしました。覚えのために手順を記しておきます。
①ファイル>スクリプト>ファイルをレイヤとして読み込み を実行し,下から若い番号順に並べる。逆順になった場合は,レイヤを全て選択してから,レイヤ>重ね順>逆順 を実行する。
②ウィンドウ>タイムライン を選択し,タイムラインパネルを出す。
③タイムラインパネル中央に「ビデオタイムラインを作成」「フレームアニメーションを作成」とかを選択できるボタンがあるので「フレームアニメーションを作成」を選ぶ。パネル右上の小さな■をクリックしてメニューを表示し、「レイヤーからフレームを作成」を選択。
④そうするとタイムラインパネル上にレイヤが若い番号順に並ぶ。
⑤そこのレイヤをすべて選び(shiftを押しながら),0秒という表示をクリック→0.1秒に変える。つまり1フレームの表示時間が0.1秒ということ。
⑥ファイル>書き出し>ビデオをレンダリング でmp4形式の動画で書き出す。
※ファイル>書き出し>WEB用の保存 でアニメーションGIFとしても書き出せる。
こうしてできた動画が(サイズは別動画ソフトで編集しましたが)以下のものです。
2時間(7200秒)を6秒で表現しているので,1200倍速の動画ですね。
以上,とりあえずはイメージ通りに2時間の木星自転動画の作成ができましたが,仕上げてみてわかったことがあります。
まず,画像の鮮明さが時間的に変化したということです。
動画を見てもわかるのですが,画像がはっきりしたりぼやけたりコロコロ変わります。これは途中で気流が良くなったり悪くなったりしたということです。一晩中,気流が落ち着くのはやはり難しいのでしょうか。
次に,仕上げた動画が少しカクついて見えるということです。これは1分のインターバルをおいて撮像した影響ですね。言い換えると2分間隔では動きが不連続に見えるほど自転による位置が変わっていることになります。間隔をもっと狭くすれば,より滑らかに見えるはずなので,次回はインターバルを短くし,例えば58秒撮像,2秒インターバルのような形で再挑戦したいと思います。
あと,今回は大赤斑という目印があったのでこれはこれで良いと思うのですが,次回は近くに衛星がある時に撮像して衛星や影の動きも同時に表現できればと考えています。そんなタイミングで天気や気流が安定してほしいものです。