梅雨期の6月、幸い天候に恵まれ新月をはさんだ前後1日の細い月を見ることができましたので、撮影した写真と共にその様子をご報告したいと思います。
6月の新月は18日13時37分でした。前日の17日未明には月齢28.1、翌日の19日日没後には月齢1.3、いずれも月面の2%以下の面積しか太陽に照らされていない細い月となります。両日の観察できる時間と新月との時間差に大きな違いがないので、同程度の細い月が連続して楽しめたというのは初めてで貴重な体験でした。
【17日未明 月齢28.1】
前日16日夜にGPV気象予報を確認したところ、微妙に雲が出そうな感じでした。それで、外に出て本格的に観測撮影する気になれず、晴れたら自宅から簡単な装備で撮影するという軽い気持ちで早々に就寝(笑)。3時半頃目覚ましで起きてみるとスッキリ晴れているではないですか!わが天文台は東西に開くスライディングルーフのため、ルーフが邪魔になって据え付け望遠鏡では東西の低空天体の撮影ができません。ルーフバルコニーから望遠レンズで三脚固定撮影を試みます。
薄明が始まり徐々に空が明るくなる中、3時55分頃ようやく山から顔を出した月を発見!
高度が増すにつれ、細く金の糸のような月が肉眼でもハッキリと見えるようになってきました。ただ、月の右下に位置する水星(―0.8等)は私の眼ではとらえられなかったです。もやのせいだったんでしょうか?双眼鏡では確認できましたが…
だんだん明るくなり、細い月は空に溶けるように目立たなくなっていきました。電車や車も通らない静寂の中、ニワトリの鳴き声が時折聞こえ(田舎なんです)、良い時間を過ごせました。
【19日日没後 月齢1.3】
19日は午後からきれいに晴れ!GPV気象予報でも雲はほとんどでないことを確認できたので、近くの見晴らしの良い川の堤防まで望遠鏡を持っていくことにしました。移動用のPentax105SDHF(f=700mm)にエクステンダーレンズを付けて焦点距離を約1000mmにして拡大撮影します。さすがにこの焦点距離になると固定撮影は厳しいので、赤道儀(タカハシEM200)で追尾しながらの撮影です。あとはSIGMA105mmF1.4レンズ固定撮影で暮れゆく空の様子も含めて切り取ろうと考えました。
18時頃から手早く夕食を済ませ、日没(19:15)頃に車で出発。今回は妻も同伴です。
現地に着くとササッと望遠鏡を組み立て月を探します。19時45分頃、双眼鏡で月を発見!その数分後、肉眼でも確認できました。望遠鏡のピントを合わせていざ撮影!
この時、風が強く吹いていて撮影画像がぶれないか心配しましたが、なんとか大丈夫でした。まだ空が明るいので、地球照はほとんどわかりません。
もう少し暗くなるまでの間、105mmF1.4レンズでの撮影の準備をしました。F値が明るいので、ISO感度を抑えてもシャッタースピードが速く設定できるのは良いところ。Nikon D810Aと組み合わせての三脚固定撮影です。肉眼で注視したイメージに近い画角かなと思います。
20時を過ぎて月がよく見えるようになりました。ただ地球照は肉眼ではわからず、双眼鏡でも目立って見えませんでした。でも、金の糸のような繊細な月は美しいですね。刻々と変化する空の色と相まってじっくり見入ってしまいます。妻も椅子に座って双眼鏡で観望、キレイと言って眺めていました。
20時10分を過ぎるとカメラのモニタ画面に山と鉄塔が入ってきました。もうすぐ月が沈みゆきます。
最後に沈む様子を(追尾停止で)動画撮影しました。ISO感度はカメラ最高の51200、シャッタースピードは1/25s。かなり粗い画となってしまいました。リアルタイムの動画です。これを見ると地球は回っているんだなと思いますね。
以上、新月前後の細い月の様子でした。今度はさらに細い月を確認してみたいと思っています。(おわり)