2025年1月後半、思い切って白内障の手術を受けましたので、その経緯を記録として残しておきたいと思います。白内障の手術を考えておられる方の参考になれば幸いです。文字多めですが、よろしくおつきあいください。
【強度の近視で乱視、そして老眼】
私は小学校の頃から近視で黒板の字が見えにくくて苦労しました。高校生の時にメガネを作りましたが、すでに強度の近視と乱視で矯正視力も1.0に届かない状況でした。17歳で当時流行りだしたハードコンタクトレンズを処方してもらうと2.0までバチッと見えまして、こんなに世界は美しかったんだと感動した覚えがあります。それ以来、コンタクトレンズは生活する上で無くてはならないものになっていました。
40代後半になると老眼が始まり、手元が見づらくなってきました。それで、コンタクトレンズの度数を落として手元が見えるように調整し、車の運転など遠くを見る必要のある時は遠近両用メガネを掛けるようなスタイルに変更しました。
仕事から帰るとコンタクトレンズは外してメガネに変えます。ところが、強度の近視で乱視なので上手く矯正できず、遠くはぼやけるわ文字は二重に見えるわで、大変質のよろしくない視界になってしまいます。三日月を見ようものなら何重にも重なって見えて、どれが本当の月か分からないくらい(笑)。長年そんな状況なので、それが当たり前になっていましたが…。
退職してからは自宅でのメガネ生活が長くなり、コンタクトレンズは外出時にしか装着しないようになりました。すると、レンズが貼りついたりして長時間の装着がつらくなってきました。きっと頻度が少なくなったことや歳のせいもあるのだと思います。
そして、夜間に車の運転をしている時、やたら前の車のブレーキランプが滲むなと違和感を感じるようになりました。眼医者さんに行って診てもらうと白内障が始まっていますな!と言われました。ただ、程度は軽くて手術を勧めるほどではないということでした。その際、視力検査も詳しくしてもらったんですが、コンタクトレンズ+メガネでも視力が0.8程度、乱視もけっこう残っている状態でした。夜間の車の運転がしにくく感じたのはこれらが原因だったのです。コンタクトレンズを常用しなくなったことで、角膜が正常なカーブから外れて乱視もひどくなったと考えられます。コンタクトレンズを外してメガネの状態では新聞の文字やテレビの番組欄の文字が激しく重なって読みにくくなる有様でした。望遠鏡をのぞいても裸眼ではピントの山が明確につかめず、コンタクトレンズをしても乱視が残っていたので、細かいところがバチッと見えません。加えて部分的に滲んだりもします。しだいに望遠鏡をのぞくのが億劫になっていきました。
【白内障手術を考える】
いよいよこんな眼の状態に我慢できなくなってきたので、何とか改善できないか自分でもいろいろ調べてみました。すると白内障の手術で近視や乱視の補正も可能であるということがわかりました。私の場合かなりひどい近視と乱視なので、どこまで改善できるか確信は持てませんでしたが、とりあえず京都で白内障手術のスペシャリストと評判の高い眼科を訪ねてみることにしました。五重塔で有名な東寺に近い場所にある「大内雅之アイクリニック」です。ここの院長は2022-2023年と2024-2025年と2期連続でBest Doctorsに選ばれている名医(眼内レンズの専門医)。クリニックのHPによれば眼内レンズによる乱視矯正に長い実績と経験があると書かれていたので選んだ次第です。
予約した上でクリニックに行ってみるとで待合室もスタッフの方も好印象でした。詳しい眼の検査のあと、院長に眼の状態とコンタクトレンズから解放されたいと希望を伝えると、手術をすればかなり改善されるとのこと。その場で手術を受けたいとお願いしました。
さて手術までの大まかな流れとしては、以下のようでした。
- コンタクトレンズを装着しないで3週間経ってから眼の精密な検査
- 眼内レンズは単焦点か多焦点か、単焦点ならどこに焦点を合わせるかを決定
- 眼の精密検査後(およそ2カ月、順番待ち)に手術。左目が先でその1週間後に右目
問題は②の眼内レンズをどうするか…でした。
単焦点レンズは近くか遠くかどちらかにピントを合わせることになります。それ以外を見るときはメガネが必要であることがデメリット。しかし、保険適用で費用が安くすむことと見え方の質は高いというのがメリットにあげられます。
一方、多焦点レンズは文字通り近くも遠くもピントが合いメガネなしでも生活が可能であることがメリット。ただし、単焦点レンズに比べて費用が高いことと人によっては滲み(特に夜)を感じることがあるというのがデメリットなんですね。海外製の多焦点レンズには焦点の合うレンジが細かかったり、ひどい乱視の矯正も対応していたりするものもあるけれど、非常に高額な費用がかかるとのこと。院長によると私の場合、国内製のものでは少し乱視が残るかもしれないけれど、高額な海外製のものを使って完璧に満足できるかというとそうともかぎらないので、あえてお勧めしないと言われました。多焦点レンズは人によって感じ方にずいぶん差があるようです。
私の場合、天体観測を趣味としているので、夜に瞳孔が開いた状態で多焦点レンズは滲みを感じやすいというのがどうしても引っかかります。単焦点レンズはメガネの不便はあるにしても質の高い見え方が得られるというのが魅力的です。…というわけで結局、単焦点レンズ(遠くでピントが合うもの)を選択することにしました。
【白内障手術の前後】
手術は2025年1月16日に左目、23日に右目ということになりました。1週間前の9日からコンタクトレンズは禁止、さらに3日前から術前目薬をさして、いよいよ当日です。日帰りで痛くはないよと言われていましたが、目をつぶれないので緊張しました~。孫に作ってもらったお守りを握りしめて(笑)、いざ手術台へ。
手術はおよそ10分くらい。何をどうされたかさっぱりわからないけれど、確かに痛くはありませんでした。とにかく手際よくサッサと作業が進んで、途中撮影?測定?した後、アジャスト?して「よし!」「おわり!」。この言葉で妙に安心しました。事前に聞いていましたが、ここでは手術中に眼球形状などを計測して度数や乱視矯正レンズの固定角度を正確に合わせることができるんだそうです。それをこれほど短時間でできるなんてスゴイですね。しかも、15時からの2時間ほどで10人以上の手術をされてましたから驚きです。まさにスーパードクターですな。
手術の翌日と翌々日の朝は検査のため通院しました。その結果、視力は1.2で乱視も良く矯正されているとのことで「非常によろしい!」と太鼓判が押されました。手術した左目はスカッと見えて気持ち良い~。でも超ド近眼の右目との差が激しすぎてバランス感覚が狂ってちょっと大変でした(笑)。術後1週間は保護メガネを常に装着する必要があったり、4日間洗髪・洗顔ができないなどの制限があったり、不便なこともありましたけど、これくらいは仕方がないですね。
もう片方の右目も23日に無事手術が終了し、検査も両眼1.2の視力で乱視もほぼ感じられず「非常によろしい!」という結果でした。それまで乱視による像の重なりとメガネによる歪みが当たり前だった視界がウソのように正常でクリアなものに生まれ変わりました。コンタクトレンズでバッチリ矯正できていた若い頃に戻れた気分で感動しました。何よりコンタクトレンズから解放されたのがうれしい!喜びもつかの間、手元を見てピントが合わないので若い時とは違うのね…と現実に引き戻されましたが…(大笑)
ところが24日の夕方、家の外を歩いていると右目と左目の画像がズレて見えるという症状が現れました。実は3~4年前もコンタクト+メガネで外出している時に同様の症状が数回起こったことがありました。これを院長に聞いてみると、極度の近視で眼球が極端に言うとひょうたんのような形状になっていることにより眼窩の制約を受けて視軸や角度が左右でずれている状態なので、その補正が上手くいっていないことが考えられるとのことでした。今までのぼやっとして二重三重に重なって見えている状態では目立たなかったものが、あまりにはっきり見えてきたので、何かの拍子に補正できなくなった可能性があるかも。これは加齢の影響も大きいだろうとの見解でした。う~悲しい。でも、いずれ脳が視界になれて上手く補正できるようになるはずと言われました。室内では起こらないのですが、外に行くときに心配です。個人的には歩く時の連続的な視野の揺れに脳の補正が追い付かなくなったのかなと思ったりします、室内にいるときや車の運転時には今のところ起こったことがありません。いずれにしても早くこの見え方に脳が慣れて、視野ズレがおこらないようになってほしいものです。
他に気になったことといえば、視野の明るさが不規則にチカチカ変わる現象が起こるということ。これは眼医者さんにも術後起こるけど気にしないでねと注意書きが渡されていたのでいずれ治るのでしょう、たぶん。
もう一つは、斜めから光が入ると角度によって視野に光条が走ったり、視野全体が少し明るくなる(コントラストが低下する)という現象が割とよく起こります。どちらかと言うと神経質な方なので結構気になってしまいます。これは眼内レンズの内面反射によるものではないかと素人的に予想するのですが、こんなに頻繁に感じるものかと思いました。メガネや望遠鏡と同じように上等な眼内レンズだとこのような反射も抑えられているのでしょうか?望遠鏡レンズのようにレンズのコバ面の黒塗りをすると良くなるんじゃないかな(笑)。でも、目に入れるものだから安全性に難があるかもしれないですね。
【老眼鏡を考える】
眼内レンズはすでに述べたとおり遠くにピントを合わせてもらったので、パソコン画面や手元には合いません。保護メガネをしている間は、以前入手していたハズキルーペ(×1.6)を重ねてかけてしのぎました。
術後1週間経ってようやく保護メガネから解放されたので、近くの評判のいいメガネ屋さんへ遠近両用メガネを作りたいと相談しに行きました。ところが、店の人曰く「眼の状態が安定するまで、きちっとしたメガネをつくるのはやめた方がいいですよ」と!。術後は視力その他の値がけっこう変わる可能性があり、安定するまで4~6カ月くらいかかるとのこと。せっかく行ったので、眼の状態をくわしく測定してもらいました。その結果、両眼ともなんとか視力1.2、少し乱視が残っており、視軸もずれている等が判明!片眼4枚もの補正レンズを入れたメガネをかけるとあらまっ!視力1.5でスッキリ見えますね~。かなり腕に自信のあるメガネ屋さんみたいで、良く勉強されている印象でした。その方が言うことは信頼できそうです。きちっとしたメガネを作るのは4カ月以降にしようと思えた次第。しかし、このままでは不便なので、どうしたらいいか尋ねると、とりあえずの安いメガネを作るか、我慢するかの2択を提示されました。なるほど、さりげない脅迫を仕込んだうまい商売方法だな~と感心。とりあえず、考えま~すと言って店を出ました。
それで自分なりに考えてみたのですが、ハズキルーペを常用するわけにもいかないし…仕方ない100均でいくつかの度数の老眼鏡を買って、必要に応じて掛け替えることにするか。…というわけで、100均に通うこと2回!、結局+1.0、+1.5、+2.0、+3.0の4本を購入しました。それでも440円は安いですね。おそるべし100均!!やはり透明度が少し悪いとか自分の眼の中心にレンズの中心が合っていないとかやや難を感じますが1本110円なので文句は言えません。
それぞれ掛けてみると、度が強いほど遠くがぼやけて視野が歪むため動くと気分が悪くなります。当然ですね。そこで個人の感覚ですが、以下のように使い分けることにしました。
+1.0 2~3mくらいの距離でテレビを見るに適。スマホ文字も何とか見える。視野の歪みも比較的少ないので、室内で過ごす時、常用することができそう。
+1.5 目から60cm前後にピントが合う。パソコン作業の時にちょうど良い感じ。スマホ操作もやや離し気味なら大丈夫。
+2.0 目から40cm前後にピントが合う。読書や長時間座ってスマホを見たり操作する時にちょうど良い感じ。
+3.0 目から20cm前後にピントが合う。細かいものを見たり、細かい作業が必要な時にちょうど良い感じ。
裸眼だと2m以上の距離でピントが合う感じです。なのでスマホの画面は手を伸ばしてもはっきり見えません。かろうじて雰囲気で文字が判別できるかという感じ。車の運転は裸眼で大丈夫ですが、メーターやナビ画面ははっきり見えません。でも文字はなんとか判別可能です。したがって、メガネがなくても運転は何とかなります。メーターやナビ画面は60~70cmくらいの距離なので老眼鏡では+1.5のレンズでちょうどピントが合います。運転用の眼鏡を作るときの参考になりますね。
というわけで、100均の老眼鏡を掛けかえてしばらくは様子をみることにします。4か月後にはメガネ作らなくていいじゃん!になっていたりして…(^_^;)
(おわり)