2026年5月17日、月齢0.6の左右逆月が見られるチャンスということを天文雑誌「星ナビ5月号」の特集記事で知りました。月齢とはご存じの通り新月の瞬間からの経過時間を日数で表したものです。月齢0.6ということは新月から半日少ししか経過していない月で三日月どころではない超極細の月になります。そして、太陽からあまり離れていないため日没後すぐに沈みます。ということは空がまだ暗くなっていない中で糸のような月を見つけなければならないわけで、極めて難しいことが想像できます。しかも、日本で見る日没後西空に見られる細い月はふつう円弧の右端が左端より上なのに、今回は逆に左端の方が上になる(左右逆月や逆転月などと言われたりする)というおまけ月!いやおまけ付き(^^;)
個人的に今まで見た中では月齢1.0 が最小だったので、はたして月齢0.6の珍しい左右逆月が見えるのか撮れるのか、がぜん挑戦したくなったというわけです。
さて、今回のデータを確認しておきましょう。左の図は京都での日没30分後の太陽-月の位置関係です。太陽-月の離角は約8.9°で地平線下の太陽が月よりも少し南の方位にありますね。これにより月の少し左下から太陽光が当たるため左右逆月になるというわけです。また、太陽-月の離角が同じでも太陽-月を結ぶ線が地平線に対して垂直に近い方が日の入から月の入までの時間が長くなり、見つけるには有利となります。
それでも京都での日の入時刻は18時56分、月の入時刻は19時45分。日没30分後の月の高度は約2.6°となかなか厳しい。さらに、月齢0.6の太陽光が当たる月面の面積の割合(輝面比)は全体に対してわずか0.6%です。
今までの経験上、日の入時刻と月の入時刻の差が1時間以上、かつ輝面比が1%以上あれば何とか見えるという感覚がありますが、今回はその条件を下回るので、はたして見えるのでしょうか?

いよいよ当日、幸いにも天気予報通り良く晴れました。いつもの川の堤防からだと西の山の高さが約2度もあるので、出来るだけ西が開けた京都府綴喜郡井出町の万灯呂山展望台(標高約300m)へ出向きました。
現地へ着くとオーマイガー!肝心な西の低空にだけ雲が漂っているではありませんか!
そして雲をまとって太陽が沈んでいきました(^_^;)

低空の雲がきれるのを祈りつつ、とりあえず機材を組み立てます。用意したのは7㎝16倍の双眼鏡と400㎜望遠レンズを装着したカメラ。この2台を自動導入経緯台AZ-GTiXに載せて向きとピントを合わせます。
そして、19時20分頃金星と木星が見えてきたのでアライメントを実行し、月を自動導入しました。
はたして、双眼鏡の視野の中に見えるのか⁈
双眼鏡をのぞくと視野の真ん中は比較的雲の薄い部分ではあるものの極細月は全く見当たりません。ひょっとして自動導入がズレてるかと適当に視野を振ってみても見つからない!!
仕方がないので自動導入し直して、ここにあるはずとダメ元で 19時26分(日没約30分後)から数分間隔でカメラのシャッターを切りました。
しかし、19時30分くらいになると双眼鏡の視野がほとんど雲に覆われてきて絶望的に_orz

一応、月の入り時刻までは待機してましたが、その後も雲が晴れることなく残念でした。やはり月齢0.6、輝面比0.6%はいかに好条件でも見ることは難しいのか?天候に恵まれたら双眼鏡で見えたのか?標高の高い場所からでないと無理なのか?何ともスッキリしない気持ちが残りました。
家に帰ってからはとりあえずサッと写真をチェックしましたが、やはり写っていないみたいで、早々にふて寝(笑)
翌日、SNSのXをチェックするとTaizo(@Taizo1959)さんや ほんのり光房(@Honnori_Kobo)さんが月齢0.6の撮影に成功されていました。ほんのり光房さんは星ナビの記事を執筆された方です。流石ですね。ただし、もやとか雲があったようでかなり強調処理されていました。
これはもしや、私が撮った写真も強調処理すると検出できるのではないか⁈と思い直し、再び写真をチェックすると、何と!!一枚だけ写っていたではないですか!
写野の真ん中から、少し離れた場所に見つけました。

そして、この写真の四角枠の部分を強調処理したのが次の画像。
少し雲がかかっていますが、左端の方が上の左右逆月になっているのは何とかわかります。

この後、撮った写真はすべて濃い雲の中に入っていたようで、結果的には撮り始めの一枚のみ何とか写っていたというわけです。いやぁ〜うれしかったですね。双眼鏡で見ることは叶わなかったですが、今後のためには非常に良い経験になりました。
是非、次の機会をとらえて月齢1未満の極細月を双眼鏡などで見てみたいなと思います。天気も味方につけて見事成功したら、報告させていただきますね。(おわり)
