はじめに
この度、縁あってコーワの大型双眼鏡「ハイランダープロミナー」をお迎えすることになりました。口径82mmのフローライトレンズを採用、倍率は標準アイピースで32倍(実視界2.2°)、重量は6.2㎏のスペックになります。また、窒素ガス充填による完全防水仕様なので星見用途にも安心できる製品です。
この双眼鏡を使う上で行った準備や実際の使用感などを紹介したいと思います。
架台とファインダー搭載ステー
一番問題となるのが双眼鏡を載せる架台です。コーワ純正の専用センターマウントは高価で重量も2.7kgと重いので購入を躊躇しました。代わりに選択したのが、K-ASTEC製のセンターアクシスマウントH-CAMとファインダー搭載ステーH-FSです。2つ合わせて重量が約1.2kgと軽く、しかもファインダーを取り付けることができます。センターアクシスマウントH-CAMは完全固定ができないですが、2軸のネジの締め加減で適度なフリクションが得られる仕様となっています。
このマウントは底面に3/8インチのメスネジを持っており手持ちのカーボン三脚に固定できます。ふだんこのマウントの軸部分を三脚につけっぱなしにしておけば、双眼鏡を載せるだけで素早く観測体制に入れます。軽さとバランスの良さがいい感じです。



スマホによる導入支援
双眼鏡で快適に天体導入をするため、セレストロンのStarSense Explorer アプリを利用することにしました。これは手動で簡単正確に天体導入できる優れもののアプリで、数年前からアマチュア天文家に活用されているものです。ネットでも多くの方が情報を発信してくれています。
ただこのアプリを使用するためには、セレストロンのStarSense Explorerシリーズの望遠鏡を購入し、同梱されているキー(英数字)をアプリ使用時に入力する必要があります。さらにインストールするデバイスは5台までという制限があります。
私はこのシリーズの最も安価な(笑)StarSense Explorer LT 70AZを購入し、このアプリの使用権を得ました。望遠鏡自体には興味がないので孫にゆずり使ってもらおうと考えています。

さて、そのアプリをインストールしたスマホは基本的にその望遠鏡の「StarSense スマートフォン用ドック」なるものに装着して使うよう設計されています。これはスマホのレンズに対して約45度の角度で鏡が付いていてレンズの位置も調整できる機構があって大変良くできていますけれど、いかんせん加工しないと双眼鏡には付けられませんし、工夫して付けたとしてもかさ高いので上へ向けた時にバランスが崩れるリスクがあります。双眼鏡のマウントは素の状態でバランスがとれており、完全固定できないフリーストップ仕様なので大きくバランスを崩すものはつけたくありません。

そこで、先人たちの工夫を参考にしてファインダー台座に小型の自由雲台とスマホフォルダーでスマホを固定、一方100均で調達したスマホケースと鏡をゴム磁石テープで脱着できるようにして製品のドックと同じ機能を持たせるように工夫しました(写真参照)。これだとかなり軽量なのでバランスの崩れを気にすることなく双眼鏡を振り回せます。



使用感
まず双眼鏡から。重量が6.2kgで持ち手もあるのでヒョイと運べ、筐体がしっかりしているのでとても扱いやすく安心感があります。各部も安っぽさはなく耐久性は十分にありそうな頼もしさがあります。
肝心の見え味ですが、月を見てもほとんど色にじみがなくスッキリとした印象。星はシャープで散開星団が非常に美しく見えます。特に暗い空で見るとメジャーなすばるや二重星団h-χは圧巻でした!マイナーな暗めのまばらな散開星団でさえも楽しめます。
また、二重星も好印象。色が良くわかり美しくシャープに見えるので気分がいいのです。定番のアルビレオやアルマクだけでなく倍率32倍で楽しめる対象はけっこうたくさんあるのだなと思いました。
星雲や銀河はさすがに口径の大きな望遠鏡にはかないませんが、双眼のなせる業か?はたまたフローライトのシャープさクリアさのおかげか?82mmという口径のイメージを超えた満足感がありました。

これを後押ししているのが、StarSense Explorerアプリの快適性です。
最初に双眼鏡が向いている方向とスマホカメラ画像の位置を合わせるだけの簡単セッティング。あとは空に向けるとたちまちカメラでプレートソルビングして正確にどこを向いているか解析してくれます。見たい天体を指定すると矢印で案内してくれるので、その通りに手動で向けるとヌルヌルと画面が動き、天体が近づけば勝手に星図を拡大してくれます。近づいた時点で少し動かさずにいるとプレートソルブして位置を補正。それから、画面の指標を見ながら目的の天体に合わせると指標が緑色になって導入完了!32倍の視野のほぼ中央付近に天体が入っています。
大きく離れた位置の天体に向ける場合はグイッと手で動かせるのでモーターによる自動導入より速いですね。自動導入&追尾の経緯台や赤道儀も便利ですが、水平出しや極軸調整、はたまた明るい星でのアライメントなどけっこう面倒くさい。三脚を蹴とばしたりするとまた一からやり直し!そんなことを考えると機材の組み立てからセッティング、観望、後片付けまで非常に楽ちんです。
あと架台の使い勝手ですが32倍の倍率では微動の必要性は感じません。バランスもほぼ取れているので各軸のネジを少しゆるめにしておけばフリーストップで使用できます。よくを言えば向きを変えるためのハンドルがあればさらに快適になる気がします。ちょっと考えてみようかな…。

収納
収納にはJEJアステージの[アクティブストッカー 600AX] 幅60×奥行38×高さ22.5cmをAmazonで購入。μ180Cの収納ボックスと同じシリーズで重ねることもできます。内部空間には余裕があるので必要なものはすべて収まります。これで収納・運搬は安心です。
ちなみに対物レンズの保護目的で95mm径のフィルター(Kenko ZX プロテクター)を双眼鏡が到着する前に用意していました。ところが付属のレンズキャップも95mm径のねじ込み式でして、写真を見ればわかる通りキャップがフィルターの厚み分だけ浮いています。キャップを撮る際にフィルターまで取れることがたまにあるので、フィルターはきつくキャップはゆるめに締めております。

おわりに
先日、遠征に持っていき散開星団や二重星を中心に楽しむことができました。StarSense Explorerアプリの効果は絶大で次々と手動で天体を導入できることが快感になりました。初めて見るようなマイナーなものも数多くあったので大満足の一夜でした。天体望遠鏡を使い始めた昔のようなワクワク感がよみがえった気がします。
一方、写真の方は SeestarS30pro君のスケジュール撮影に全くお任せしました。そのおかげで観望に集中できたわけです。
これまで、遠征すると写真を撮るため望遠鏡機材の準備調整に時間を取られて、肝心の観望は二の次という時期がありました。
しかし、今回のように機材は軽量&簡単設置、観望重視で写真はお任せというスタイルがいかにすばらしいかを体験できました。年を重ねた自分としてはなおさらに感じます。それにしても電子機器の進歩が目覚ましいですね。こんなふうになればいいなという人の思いが次々に実現しているようです。そのお恩恵を享受できるのはありがたい限り。これからも息長くこの趣味を楽しんでいきたいと思います。



