2021年11月19日 部分月食

2021年11月19日 ほぼ皆既月食に近い部分月食(食分0.98)がありました。食の始まりは16時18分頃で,北海道や東北地方北部を除く地域では,月が欠けた状態で空に昇ってくる月出帯食(げつしゅつたいしょく)となりました。観測地の京都府南部では月の出の16時46分頃から17時30頃まで低空の雲に邪魔されましたが,それ以降はスッキリ晴れてまずまずの条件だったかと思います。いくつかの方法で写真を撮ってそれを編集しましたので,ご報告させていただきます。

まず計画としては次の3つの方法で撮影し,そこから画像や動画を作成しようと考えました。

①望遠鏡直焦点で1分毎に月の拡大撮影
 望遠鏡:APM ZTA152(D=152mm f=1200mm)
 カメラ:Panasonic Lumix S5
 ⇒月食の経過がわかる組写真及び動画,
  地球の影に対する月の動きを表す写真を編集
②三脚固定でカメラレンズによる5分毎の連続撮影
 レンズ:Canon 50mmF1.8
 カメラ:Canon EOS 5DmkⅡ
 ⇒各画像を比較明合成して,月の位置と形の変化がわかる写真を編集
③ポータブル赤道儀に望遠レンズで「月とすばる」の撮影
 レンズ:AI Nikkor ED 180mm F2.8S
 カメラ:Nikon D810A
 ⇒食の最大付近の月とすばるが近いのでそのようすを写真撮影

①②共通の撮影計画表

なかなかすべてを一人でやるには手が足りないので,前職場から優秀な女性スタッフを呼んで手伝ってもらいました。①②の撮影計画は事前に用意して,それを見ながらシャッタースピードを設定して撮影するという方法です。私は①を担当し,彼女には②③をセッティングから担当してもらうことにしました。

セッティング風景

場所は,木津川の堤防で行いました。月が昇る方向に少し木の邪魔がありましたが,車が来ない落ち着いてできる環境を重視して決めました。現地到着は16時。そこから機材のセッティングをして月の出を待ちます。月の出の時刻には空が明るいので赤道儀の極軸を正確に合わせられません。幸か不幸か低空に雲があり月はなかなか顔を見せてくれません。そのうち17時20分くらいに北極星をとらえ,極軸を合わせることができました。

撮影風景

準備は万全,あとは月が雲から顔を出すのを祈っていましたが,17時半頃からすっきり晴れてくれました。①の望遠鏡直焦点撮影は,パソコンでステラショット2を起動して望遠鏡と接続,1分毎に月を導入して視野の真ん中に導く予定でしたが,残念ながら正確に導入してくれませんでした。これは想定外!1分毎に撮影なので対応のしようがありません。仕方ないのでステラショットの微動ボタンで適当に動かして月を視野中央に導きました。Panasonic Lumix S5はステラショットに対応していませんが,スマホの画面上でモニタとシャッタースピードを変えてシャッターを切ることができるので,望遠鏡に触ることなく操作が可能です。カメラも便利になったものです。

撮影した写真は翌日以降に編集していきました。
まずは,③の方法で撮った「月とすばる」です。

撮影時刻 18:02/星野はISO200 F2.8 8s露出/月はISO200 F2.8 2s露出

食の最大になったころ,近くにすばるが見えていて双眼鏡ではなかなか美しいながめでした。これを同時に写しとめたいということで,180mmレンズを使いました。ところが1枚撮りでは圧倒的に月の方が明るいので,月に露出を合わせるとすばるはかすかにしか写りません。そこで背景の星と月は露出を変えて別に撮ったものを合成しました(;^_^A。月のまわりの処理が難しかったです。それをごまかすために背景の空はかなりコントラストを強めました。こう考えると人間の目は優秀ですね。

次に,②の方法で撮った5分毎の月の位置と形の変化です。

レンズ:Canon 50mmF1.8→8 カメラ:Canon EOS 5DmkⅡ

これは,女性スタッフに一任していましたが,ピントや構図,撮影は完璧でした。Mさん,グッジョブ!素晴らしい! 
それだけに17時10~20分の間,雲にさえぎられたことが悔やまれます。
ほぼ余計な明かりがない場所で撮りましたが,明るい夜景があったほうが絵になったかもしれませんね。

最後に,①で撮った写真から編集した成果物です。

ZTA152(D=152㎜,f=1200㎜)直焦点/ISO800 2秒露出

18時03分,食の最大時の写真です。向きは上が天頂に合わせています。
記憶をたどり双眼鏡で見た感じに近いように仕上げたつもりです。
基本的にカメラのオートホワイトバランスから色味はいじっていません。
Raw現像で露光量を+1.0に調整,軽くアンシャープマスクをかけています。
また,影との境目付近は少し紫っぽく写っています。これは地球のオゾン層を通り抜けた青い光が混ざっているからなのですが,眼視で見る限りはほとんど感じられず,私は美しいシルバー色に見えました。この領域を最近ではターコイズフリンジと呼んでいて,画像処理により強調されたものがWeb上にも散見されます。

はじめの頃は月の高度が低いので大気の影響でオレンジ色っぽい

撮影した写真を5分おきに並べた組写真です。元画像は20000×15000ピクセル!!もあります。
肉眼で赤っぽく見えていた地球の影の部分が露出不足なので,あえて強調するのはやめました。無理に持ち上げて出せなくもないのですが,粗くなって美しくなくなります。そのかわり,長めに露出時間をかけた食の最大の写真を右上に配置しました。

1分毎に撮影した写真をパラパラ漫画のように動画化したものです。写真の選別や位置合わせ他でかなりの時間を使いました作業時間は丸1日くらいかな…しんどかった~。Photoshopにレイヤとしてファイルを読み込み,前後見比べながら1ピクセル単位で位置調整 (*´Д`)。一応,細くなった月の欠けた部分を少し持ち上げて赤みが出るようにしましたが,露出不足が響いて美しさがいま1つですね。

最後は,フィルム時代から表現したいと思っていた「地球の影に対する月の動き」がわかる写真です。Photoshopを使用し,慎重に適当に合わせました。(どっちやねん!)本当はきっちり20分間隔にしたかったのですが,雲にはばまれた関係で早い時間の間隔が少し揃っていません。でも言わねばわからない程度かもしれませんね。
今回は,初めの頃に月の高度が低かったので月の色がオレンジや黄色とカラフルになったのがユニークで良かったです。

以上,一通りご報告しましたが,いかがだったでしょうか?
今回の月食を見た感想としては,地球の影の部分の明るさがかなり明るいと思いました。皆既でないのにこんなに赤く明るく見えるとは想像以上でした。双眼鏡で撮影の合間にながめましたが美しかったです。やはり何といっても実際に見るのが一番ですね。
次回,2022年11月8日の皆既月食も楽しみになってきました。広い地域で晴れてほしいと願っておきます。

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