2021年9月9日の日没後 月齢2.4の月と水星が,10日には月齢3.4の月と金星が近くに見えるということで,この様子を撮影しようと考えていました。特に10日は細い月と金星の接近という誰もがきれいと思える光景です。この組み合わせは一般の人にもわかりやすく最強ですね!夕暮れの空の変化の中で見るようすは何回見ても素敵だと思います。
自宅の天文台は東西に開く屋根(スライディングルーフ)がじゃまで,残念ながら東西の低空は観測できません。そこで,近くの川の堤防に出かける計画としていました。
撮影計画としては
①月や金星と西空の変化がわかるタイムラプス撮影
(数秒のインターバルで写真を多数撮影し、あとで写真を連続でつなぎ合わせ動画にします)
【機材】Nikon D810A+85mm F1.8レンズ+カメラ三脚
②赤道儀に載せた望遠鏡で追尾しながら月の拡大写真と動画を撮影
【機材】Lumix S5+Pentax 105SDHF+タカハシEM200(改)
9月9日も10日も晴れたら実行するという意気込みでした。
■9月9日,川の堤防へ■
この日はまあまあ晴れ間がありました。予定通り17時50分頃,現地へ到着。日の入りは18時14分,太陽はまだまぶしく見えていました。方位磁石で赤道儀をだいたい北へ向け,望遠鏡カメラをセッティング。次に三脚にタイムラプス用のカメラをセットしたころ,ちょうど太陽が山へ沈んでいくのが見られました。
そこから南寄りの月や金星が沈む経路に雲のかたまりが広がっており,嫌な予感です。ふと,雲の上を見るともう細い月が見えていました。正直,もっと見つけるのが遅くなるかなと思っていたので意外でした。気持ちいいくらい細くシャープに見えています。早速,望遠鏡の視野に導入してピントを合わせます。しかし,ますます地平線付近に雲が広がってきました。まずい!
計画では18時30分からタイムラプス撮影を始めるつもりでしたが,月が予定の写野に入っていたので18時23分から撮影開始。こちらの方はインターバル撮影を設定しているので,あとはカメラにお任せです。5秒ごとに空の明るさに露出を合わせながらシャッターを切ってくれます。
(タイムラプス動画はPhotoshopCCで編集しました/再生すると雲が多いことがわかります)
次に,望遠鏡の撮影にかかります。しかし,露出を調整している間に雲がやってきて撮影にかかれません。18時37分頃と19時17分頃,ようやく雲のすき間に月が入って全景が見えましたが,数分で雲に突入しその他は雲なしに月全体を見ることはほとんどありませんでした。最後,山に沈むときも雲越しのぼんやりしたオレンジの月がぎりぎり撮影できたという状態でした。一応,撮影した動画をつないで編集したものをYouTubeにアップしました。以下からどうぞ。
思った以上に雲に阻まれ不完全燃焼でしたが,ほんの少しだけ見せてくれたシャープな月と金色に輝く金星の光景は,やはり美しかったです。
■9月10日,自宅のルーフバルコニーから■
GPV気象予報では9日より雲が多めで心配していましたが,やはり午後5時には雲で西空が覆いつくされてしまいました。この日が本番,晴れてほしかったのですが,川の堤防へ行くことは断念し,自宅のルーフバルコニーで待機。雲の切れ間が出ることを祈りつつ,100-400mmの望遠ズームレンズで待ち受けることにしました。しかし,ついに月と接近した金星をきれいに撮ることはできず,結果はこの写真2枚!かろうじて接近した証拠にはなったというところでしょうか。Twitterなどでは,東日本の方で見えていたらしいことがわかりました。
まあ天気ばかりは仕方がありませんね。
次回のチャンスに期待します。