月齢28.5の月、撮影成功

 2022年9月25日未明、月齢28.5の細い月を撮影することができました。
新月は26日の午前6時55分ですから新月のほぼ1日前です。2021年9月6日にも月齢28.3の細い月を撮りましたが、それよりもさらに細い月になります。細い月って、狙わないと見られないから魅力的ですよね。

黄道・白道と太陽・月の位置関係

 しかも秋分の頃の新月前の月は水平に近い受け皿のように見えるのが特徴で、これは東の地平線に対して黄道(太陽の通り道)と白道(月の通り道)が立っているのが原因です。白道(月の通り道)は黄道と約5度の角度で交わっていて、今年の場合は月が黄道よりも北の位置に来ます(図参照)。なので、太陽光がやや右下からあたり、水平どころか月の右側が少し上に光る珍しい見え方になっています。黄道と白道の交点は黄道上を西に18.6年周期で移動するため太陽光が当たる角度は毎年少しづつ変わっていきます。そういう意味でもこの角度で見える細い月に今回注目していたのでした。

 問題の天気は予報によると快晴とはいかずある程度雲が出そうなもよう。月が出る東の低空が晴れることを祈って、前日は車に機材を積み込んで早めに寝ました。4時前にアラームで目覚め、いつもの川の土手へ車を走らせます。そこまで行くと東方向の山の高さは約2度となり。電線などの障害物有りまくりの自宅よりはずいぶんマシです。
 現地へ着くと赤道儀EM200を組立て鏡筒PENTAX105SDHF(f=700mm)を載せます。カメラはいつものLumix S5、直焦点で撮ります。赤道儀にした理由は、赤緯目盛を合わせると月の出る方向がおよそわかるからです。パソコンつないで自動導入という方法もあるけれど、この簡易な方法で十分だろうと踏んでいました。また、低感度で十分な露出をかける場合にも赤道儀追尾は有効ですからね。

月が出てくる東の地平線付近は晴れ!その上は雲!

 さて、手早く極軸合わせ&ピント合わせを済ませ、後は月が出てくるのを待つだけという状態になりました!観測地から東の山の高さを考えると、月は5時頃に出る計算です。幸いにも東の地平線は目立つ雲がなく抜けています。その上の方に雲の大群があり気になりますが、後は天に祈るのみ。徐々に空が明るくなってくるのを感じながら時間まで熱いお茶とお菓子でしばし休憩としました。気温は15度。厚手のシャツとジーパンでちょうど快適でした。休憩中、散歩やジョギングの方が何人も通ります。皆さん健康に気をつかわれているんですねぇ。歩道とは逆サイドに陣を構えていたせいか誰にも声をかけられませんでした。何をしているんだろうという疑惑のまなざしは刺さってきましたけど…(笑)

5時の時点で月の高度は約2度

 もうそろそろかなと双眼鏡で見たら、何と!すでに出ているではありませんか!オレンジ色の細い糸のような円弧が見えています。しまった!出てくるところを見逃した~。あわてて月を中央へ導入しシャッターを切ります。背景が明るいせいか、地球照が目立ちません。昨年に比べても段違いに目立ちません。露出をかけても背景ごと白っぽくなるばかり…。あまり太陽に近いと地球照は難しいと悟りました。
 時間が経って月が高度を増すにつれて、オレンジ色の円弧が金色の円弧に変わってきました。まるで光る糸で出来ているようで美しい!それにところどころ太さが違っていておもしろい!カメラのモニタ画面越しではありましたが、なかなか感動的でした。

撮影時刻 05:19/月の高度は約6度

 ひとしきり撮影し空に目を向けると美しいグラデーションがそこにはありました。これは拡大撮影ばかりしている場合ではないとカメラを望遠ズームレンズに付けなおし、三脚にセットしてパチリ!写真は150mmで撮影し若干トリミングしたものです。肉眼で凝視した時にこんなイメージで見えていたように思います。しばらく温かいお茶を飲みながらこの情景を楽しんでいました。5時半になる頃だったでしょうか、さらに明るくなった空の中で月は溶けるように見えなくなっていきました。いやぁ~久しぶりに良い時間を過ごせて大満足です。今回一人での撮影でしたが、次は誰かを誘ってこの感動を分かち合いたいと思いました。(おわり)

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