星撮り遠征記2022.12.14 -三重県 南伊勢町- ふたご座流星群

 12月といえばふたご座流星群。今年2022年も見に行ってきました。極大は14日の22時という予報でちょうどその頃下弦前の月が昇ってきます。というわけで暗くなったらすぐに撮影できるよう16時過ぎには現地に入りました。
 観測地は4回目となる三重県度会郡南伊勢町の鵜倉園地。冬に北西の季節風が吹く時には晴天の確率が高いエリアです。今回は昔からの星仲間Tさんとご一緒させていただくことになりました。最近ぼっち観測が多かったのでうれしいかぎりです。

かさらぎ展望台の入口、木の杭で車止めがある

 鵜倉園地は恋人の聖地にもなっている見江島展望台に向かいました。もうすでに3人のナイスなシニアの方が三脚を並べています。やはりここは景色が良いので人気がありますね。ただ、木組みの展望台がそびえているので超広角レンズで天頂付近をねらう場合、これによって視野がけられてしまいます。私はポータブル赤道儀を持ってきているのでどこに構えようかと迷いながらシニアの方に声をかけると、それなら隣のかさらぎ展望台に行けば広く視野が確保できるよと親切にも教えてもらいました。

幅はおよそ5m、奥行きは30~40mくらいかな

 そんな場所があったとは今まで3回も来ていたのに気づきませんでした。それで、かさらぎ展望台の方へ行ってみると見江島展望台の駐車場から100mほどの距離ですぐにアクセスできました。そこではすでにナイスなシニアの方が一人で三脚を構えて準備をされていましたので、ご一緒させてもらっていいですか?と挨拶すると、後で2組の仲間が来るけれどそれでも良ければどうぞととても優しく言ってくださいました。いやぁ~いずれの方も非常に穏やかな優しい話し方で人柄の良さがにじみ出ていました。私ももはやシニアの部類ですが、あんなふうになりたいと思いました。

写っている人は星仲間のTさん、東へカメラを向けているところ

 さて、かさらぎ展望台は北~東~南が開けていて見江島展望台のような邪魔はなく視界が良好でした。ただ、地面に芝生があってポータブル赤道儀の足が沈みこんだり、反発して浮き上がったりします。精度が必要なガイド撮影などではつらい環境と言えましょう。何とか芝生の薄いところを選んで三脚やポータブル赤道儀を設置してカメラをセット。あとは暗くなって流星が飛び始めるのを待つだけとなりました。到着時は雲がそこそこあったものの、暗くなるにつれて快晴に!狙い通りの天候になって感謝です。風が強く寒いのはガマン、ガマン…。

 機材と撮影法は、SIGMA14mmF1.8+NikonD810Aで景色も入れた三脚固定撮影、TTartizan21mmF1.5+Lumix S5をポータブル赤道儀に載せて景色を入れずにガイド撮影の2パターンです。

【写真1】

 まずは、固定撮影の結果から。この写真1は20:30頃の星空(Sequatorソフトで21枚分コンポジット)に19:28~20:38に捉えた流星13個分(中にはうすいものもあります)を合成したものです。1枚1枚の露出はF2、ISO3200、13秒です。画面左下に明るい火球が写っています。この火球はSNSの情報からふたご座流星群ではなく12月いっかくじゅう座流星群のものであることがわかりました。左下の空が明るいのは街灯りの影響ですね。

 この火球が流れた後、しばらく痕が残りました、その様子を撮影した写真から少しトリミングしてタイムラプス動画を作りました。実時間の130倍速ですので火球は一瞬ですが、痕は形を変えながら動画が終わるまで記録されているのがわかります。この動画でから確認できる実際の継続時間は約23.5分でした。ちなみに中央下で明るく点滅しているのは灯台のあかりです。

【写真2】

 次の写真2は21時頃から縦構図にして撮影したものです。星空は現地の月の出5分前にあたる21:57のもの(Sequatorソフトで21枚分コンポジット)で、そこに21:06~22:41の間に捉えた流星27個ほどを合成しました。1枚1枚の露出はF2、ISO6400、13秒。左側にふたご座流星群の火球が一つ入りました。左下の空が明るいのは街灯りと昇りくる月の影響だと思われます。NikonD810Aで撮った星空の発色はとても気に入っています。さすが天体撮影専用機!ホワイトバランスはオートにしていまして、カラーバランスは全くいじっていません。

【写真3】

 写真3は月がだいぶ昇ってから位置を変えてを撮ったものです。月が写野に入らないよう構図を決めました。星空は23:45のもの(Sequatorソフトで21枚分コンポジット)で、そこに23:03~23:55の間に捉えた9個の流星を合成しました。1枚1枚の露出はF2、ISO3200、13秒。月の明るさのせいで空が青く写りました。また、手前の木々が月に照らされています。風が強く揺れたのでブレていますが…。
 水平線近くの1等星カノープスへ刺さるようにふたご座流星群ではない流星が写っています。極大時刻を過ぎて月があっても、ふたご座が高く昇ってきたからか、けっこう飛んでいて明るい流星が数多く見られました。ただ、なかなか写野に入ってくれない…撮影あるあるです。(^_^;)

【写真4】

 写真4はガイド撮影の結果です。TTartizan21mmF1.5のレンズプロファイルはPhotoshopになく、RAW現像時に周辺減光等の補正ができないのが難点です。したがって、周辺の空の明るさが一部不自然になっています。本来ならトリミングするところですが、その周辺部の端っこに火球が写っているのでノートリミングでの編集です。20:54~23:19の間に捉えた14個の流星を比較明合成しています。1枚1枚の露出はF2、ISO6400、15秒です。星空の色もLumix S5のホワイトバランスオートではあまり美しくなかったので、寒空のイメージで少し青っぽくしています。ちなみにこの写真で端に写っている火球は写真2で写っているものと同じで21:30頃に出現したものです。月があるのでカメラを東に振ったのが仇でしたね。他の方向にも向けた時間帯もありましたが、あまり流星が入っていなかったのでボツにしました。むぅ~

 以上が、今回の撮影成果です。やはり流星はぼっち観測でなく仲間とワイワイ言いながらの観測が楽しいですね。知らない人ともお話できて良かったです。そして何より生の流星の光を100個以上この眼で見ることができて幸せでした。
 現地の気温は2度くらいでしたが風が強いため体感温度は氷点下だったでしょうか。寒いことと月が高く昇ってきたこと、カメラのバッテリーがなくなってきたこともあって、真夜中過ぎには片づけて帰路につきました。しかし、帰りの車からフロントガラス越しに明るい流星を5個も確認できましたので、そのまま帰らずに朝までいたらきっと明るいのがたくさん見れたことでしょう。さすがはふたご座流星群ですね。来年2023年は月あかりの邪魔もない好条件なので今から楽しみです。広い範囲で好天に恵まるようお願いしたいものです。(おわり)

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